生徒会の襲来

「……生徒会長が俺になんの用ですか?」


 昼休み。俺は何故か生徒会室に呼び出されていた。

 よく知る巨◯な副会長に、威圧感ある会長。

 そして見知らぬ書記やら会計くん。


 はぁ。はやく教室に戻りたい。


「お前を呼び出したのには訳がある」


 会長がそういうと、周りの空気がピリついた。


 ……ただ者ではない。そんなオーラを感じさせられる。

 虎の威を借る狐などではなく、紛れもない実力者。


 故に、面倒ごとは避けたいと心の底から思うのだが……。


「単刀直入に言わせてもらう。貴様、妹とはどんな関係だ?」


「え?」


 思わず変な声が出る。予想と違いすぎる質問だ。俺はてっきり、『貴様……何者だ』とかいう俺の核心をついた質問をしてくると半ば覚悟していた。


 それなのに……妹とどんな関係かと言われても………。あんたの妹をしらない件について。


 俺の返答に対して、意外な反応を示す生徒会長。

 まるで、俺のこの??状態を見抜いていたのかの様にニヤリと口角を上げ出した。


「……ふっ、なるほどな。演技が上手い。本当に検討がつかないという顔をしている」


 いや、その通りなんだが。なんか変な勘違いでもしているのだろうか。


 困った顔で副会長の方を見ると、クスクスと肩を震わせていた。


 俺はそんな副会長にため息をついて、会長の方へと向き直す。


「……あの、俺ほんとうに分からないので失礼しますね」


「まぁ、待て……。今逃げたら、俺は今後徹底的にお前を追い詰めるぞ?」


「……何が目的ですか?」


「ふむ。莉央から手を引け。それだけだ」


 ……莉央?


 一瞬誰だか分からなくなるも、すぐに検討がついた。夢島……夢島莉央っ!

 ということは、この生徒会長、あの夢島の……。


「そうだ、お兄ちゃんだ」


 俺の胸中を悟ったのか代弁する感じで、会長本人がそう言ってきた。


 な、なるほど……。話の筋が見えて来た。


 今、俺の脳内に浮かび上がるのは、うすら笑いをした夢島莉央。


 ……くっ。生徒会長が俺の敵に回るように仕向けてきたか。


 俺が思わず渋い顔をしていると——


「いい顔になってきたじゃないか、


「……はぁ。夢島はたしかに同じクラスでここ最近交流はありました。けど、今はもう関わってないです」


 俺はもう正直にいうことにした。この言葉に嘘偽りはない。

 俺が堂々と言い放って、会長の瞳を見つめ続けていると。


「……ふむ、そうか。その言葉に嘘偽りはないな。だが、もう確定だ……陰月礼人」


 生徒会長の瞳が、ゆっくりと細められる。

 その眼はまるで、獲物を逃さない肉食獣のそれだ。


 ———ま、まさかっ!?!?


 俺が、何かを悟った瞬間にはもうすでに遅かった。


 会長が俺にこう言い放ってくる。


「陰月礼人……。生徒会にこい! 俺がお前を見極めてやる」


 夏テストの前。

 大きな壁が立ちはだかってしまうのだった。



 

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