朝から変化が訪れた!?
「いつにもなく、眠そうだな」
「ああ……妹がちょっとな」
南真奈と恋人になった日の翌日の朝。
ひどくやつれた俺にそう内田が心配してくる。
「妹って……喧嘩でもしたのかよ」
「まあそんなとこ」
実際には喧嘩ではなく尋問といったほうがいいな。
喧嘩のほうがまだましだ。普段から仲悪いんだし……。
でも、昨日はほんとひどかった。
「大変だな」
そういう内田の顔を見ながら、俺は昨日のことを思い出していた。
『あの美人とは付き合ってるの?』
『あと私のこと助けてくれた人がいたんだけど、あんたと同じ制服だった。仮面つけてたんだけど……一体誰なの? 謎の生徒Rとかいう少し痛い人っぽかったけど』
はぁ、俺の部屋に侵入してきて言いたい放題だったな。特に南との関係性については口うるさく聞かれた。
「付き合っている」といっても、嘘嘘の連発発言。
どう答えたらよかったんだ?
それと、後者の謎の生徒Rだが悪かったな……イタいやつで。
「おはよう、陰月」
「あぁ……南」
昨夜のことをふりかえっていたら、南から挨拶をされる。
恋人になったからだろうか、普段されるはずもない挨拶に不覚にもドキッとした。
「ふーふー」
俺と南に挟まれた内田は下手くそな口笛を吹く。
こ、こいつと思ったその時。
「よお。陰月、元気そうだな」
「ケケケ」
下衆な笑みを浮かべてそう言ってくる相澤。
それに続いてケラケラと笑うだけの家塚。
はあ。こいつらは相変わらずというか……ほんっと暇人なやつらだな。
「ま、えっと相澤くん」
おいおい。早速ボロ出してるぞ、南は。
「……けけっ。うまくやれよ」
「うんっ!!」
裏事情隠す気ないだろ……。
相澤……お前の企み、丸聞こえなんですが。
「……それで、昼一緒にどうかな? 陰月くん」
「……………」
照れ臭そうに髪を指でくるくる巻きながらそういう南。
この状況でよくそんな提案できるなと少し感心する。
南真奈。こいつの心には悪魔でも住みついているのかもしれない。
「……おもしれぇことなってきたな」
「なんだ? 内田」
「お前も仲間に入りたいって感じ?」
「いや、そんなんじゃないけど……そろそろ潮時かも、と」
何言ってんだ、と周囲の皆は一蹴する。だが、俺は内田の底のしれなさに少し警戒していた。
会った時から同じ匂いといえばいいだろうか。同族感みたいなのが内田からは感じられた。
気のせい……というより気付いてないふりをして内田とは接してきたが真相はまだ俺にもわからない。
ニヤリ、と俺にだけ謎の笑みを含ませて視線を送ってくる。
まるで、相澤レベルには屈するなと言っているかのよう。
「…………」
真の敵は、ひょっとしたら内田かもしれない。
そう思う俺なのであった。
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