生徒会にて
「……おい、どうなってる」
「……会長? どうされました?」
「いや、今日一年生内で行った他クラス交流会の話だ」
「あぁ……ありましたね」
「そうだ。あの問題……難易度は相当高めにしてあったはずだが……」
「そうですね……。正直、意地悪すぎると思いましたよ?」
クスッと笑みを向ける少女に、男は「はぁ」と分かりやすくため息をついた。
「……ありえないんだよ」
「何がですか?」
「この紙見てみろ……」
男が突き出したのは一枚の紙。
「……ぜ、全問正解……ですね」
「そうだ……。しかも一人だけな」
「た、たまたまじゃないですか?」
「……5択形式の計15問を全問正解。これがまぐれと言えるのか??」
「っ………」
ふんっと、男は鼻を鳴らして続ける。
「……これは調べる必要がありそうだな。この私の右腕にふさわしい逸材であろう人物を」
「あっ、ま、まさか……会長。クイズの問題をここまで難しくしたのって!?」
「あぁ……そうだ。生徒会にふさわしい人物を選別するために、クイズを難しくした。まぁ、匿名制にしたのは……それほど新入生には期待してなかったからなんだが……これはまた予想外だ」
「……会長。呆れるというか何というか」
「はっ、これが俺だ。いいか美幸? まずは学年一位から調べあげるぞ」
「あぁ……めんどくさい」
「おい!」
「…………わかりました。とりあえず学年一位に話を聞いてみます」
生徒会教室にて。二人の声が響きあっていた。
♦︎♢♦︎
「……はっ、はっくしょん」
「え? 誠? 大丈夫?」
「……あぁ」
今は、帰りのホームルームの時間帯。あれから他クラス交流会のクイズはまぁ順調に進んで終わった。
『むずかしすぎんだろ!』とか、『無理無理』とか言う声が周りからしたがそれほどというのが俺の印象だった。だから困ったことというのはそんなになかったわけだ。
けどまぁ。
暁真由と夢島莉央には何故か目をつけられている。
はぁ、クイズ始まってからずっとこれだ。なんか俺したか?
『ふふっ。本気だしてないでしょ』
最近夢島に言われたこの言葉がすごい気にかかってるし。苦手な暁にはキラキラした瞳をたまに向けられるし。
「……陰月〜。優勝できなかったらお前のせいだからな」
「それそれ〜」
「ははははは」
はぁ。またお前らか。俺の視界に映るのは相澤に家塚に南。リア充三人トリオだ。
こいつらはもはや、俺を馬鹿にするのか習慣となっている。
まっ、無視して寝るか。
「……おいおい、寝たふりせずになんとか言ったらどうだ?」
「そうだな……。適当に回答しちゃってすみませんって」
全部、完璧に答えたっての。ふざけるな。
少しイラつき始めたその時。
「すみません。相澤誠さんっていますか? 生徒会副会長の森美幸です」
何故かこのクラスに生徒会がやってきた。
ん? なんだ? 相澤のやつ生徒会に勧誘されんのか?
「……あれ、森副会長じゃん。めっちゃ可愛いよな。胸も大きいし」
男子のそんなひそひそとした声が耳に届く。
確かに端正な顔立ちをしている。
大人の色気ってやつか? 知らんけど。
「……あっはい、僕ですけど」
「そう。少しついてきてもらえるかな?」
チラッと、生徒会副会長はクラスを一瞥してからそう言った。
「……はい」
鼻の下が伸びてるぞ。ってツッコミたくなる位相澤の顔はだらしなかったがまぁあれほどの美人なら仕方ないかもしれない。
「……………ふふっ。やっぱりそうだわ」
ん? 何故か今すごい鳥肌がたったぞ……。あれ? なんか夢島のやつ……やたらこっち見てないか?
え? は? あれ? 暁もなんかキラキラした目を向けて……。
どういうことだ??
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