第9話 再会
扉を潜るとそこは、白い廊下が奥まで続き、ところどこに扉があるようである。若葉は後ろを歩く伊織に、ここは地下に伸びている作りとなっていますと言う。
「地下に伸びているってどういうことですか?」
伊織が聞くと、若葉が伊織の横に移動をして説明をし始める。
「今いるここが地下一階です。 ここから下に各部署が存在し、それは地下五階まで続いています」
そう言われた伊織は凄い組織だと驚いていた。若葉は続けてここは国の秘密組織でもありますと言った。
「秘密組織!? そんな場所に俺がいていいんですか!?」
伊織が若葉に言うと、若葉はあなたは特別な力を持っていますねと言う。
「あの時に怪物を倒した力はなんですか?」
歩きながら問われた伊織は、分かりませんとしか返せなかった。その言葉を聞いた若葉は、いずれ理解しますと返答してくる。
「いずれってどういう意味だろう?」
そう伊織が悩んでいると、通路の奥にエレベーターがあったので若葉は伊織に二人でこれに乗りますと言う。
「これで地下四階に行きます。 早くお乗りください」
そう言われた伊織は、小走りでエレベーターに乗る。伊織が乗り込むと、若葉は地下四階に移動をした。地下四階は怪物対策本部とエレベーター内に表示されており、ここで多くの情報を集めて対処をしているのだなと考えた。地下四階に到着をすると、地下一階とは違い、ワンフロア全体が見渡せる場所でに出た。
そこでは多くの職員が忙しなく動いており、地球上に出現をした怪物の情報を集め、日本に怪物が出た際には対処部隊を送り出しているようであった。若葉がエレベーターから出たのを見た職員たちは全員、若葉のことを副司令官と呼んでいた。
「副指令!? 若葉さん副指令だったんですか!?」
伊織が驚いていると、若葉は言っていませんでしたかと小首を傾げていた。伊織は聞いていませんと口を尖らせて言うと、若葉はこっちに来てくださいと伊織を誘導する。
「話を逸らした!?」
伊織は愕然とすると、若葉が早くと言っているので小走りで若葉を追いかける。若葉が入った場所は部屋の奥にある扉であり、そこには特別室との札がかけられていた。
「特別室? 何の部屋だろう?」
伊織はそう疑問に感じながらも、部屋の中に入っていく。すると伊織の目の中にあの時に傷ついた結乃と呼ばれた女の子が椅子に座ってお茶を飲んでいた。
「えっ!? 元気な姿でいる!?」
伊織が驚いていると結乃は伊織を見ておはようと、両手を伊織に向けて元気に振っていた。伊織はその結乃の姿を見て元気になってると驚いていた。
「凄い傷を負っていたのに……数日でそんなに元気になってる!?」
伊織は結乃のもとに小走りで駆け寄ると、結乃の両手を掴んだ。
「良かった治って! 凄い心配してたんだよ!」
伊織が結乃の両手を掴んで心配をしていると言うと、結乃は頬を紅く染めた。
「きゅきゅきゅ、急に触らないでよ! 緊張するじゃない!」
結乃は伊織の手を振りほどくと、自身の紅く染まった両頬を両手で抑えた。
「ご、ごめん! 生きててくれたことが嬉しくて、つい」
伊織が謝ると結乃はありがとうと頬を再度染めながら言った。その様子を見ていた若葉は、青春だなと考えていた。
「お熱い青春はそこまでにして、話をしてもいいですか?」
若葉がそう二人に言うと、伊織と結乃はごめんなさいと立ち上がって若葉の方を向いた。
「では、伊織君の力は十年以上前に怪物たちの指導者を倒してくれた方の力を受け継いでいますね?」
そう若葉に言われた伊織は、その問いに対して分かりませんと答えた。
「伊織君は十年前にいたライブ会場で、指導者を倒してくれた天馬朱雀君の力を受け取らなかった?」
そう言われた伊織は、その時の様子を思い出すことにした。
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