第7話 戦い後の帰宅

その言葉を聞いた二人は、伊織に格好良かったですと話しかける。普段は会っても会釈のみだったが、今は眼を輝かせて伊織に話しかけていた。


「あ、ありがとう……いつも愛奈と仲良くしてくれてありがとうね!」


伊織が頭を下げて二人に言うと、真夏と春海はこちらこそありがとうございますと言った。


「怪物もいなくなったし、今日は帰ろうか」


伊織が三人に言うと、帰りましょうと愛奈たちは同意した。伊織を含めた四人は電車に乗って家を目指す。


道中、愛奈は友達二人と楽しく話しており、伊織はスマートフォンにて先ほど現れた怪物のことをsns等にて検索していた。


「駅前に出た怪物のことは何も情報が出てないな……あの場にいた人が写真を撮っていたりスマートフォンで何かしていたのを見たんだけどなー」


伊織は何か検閲をされていたのかと考えていると、愛奈がお兄ちゃんと何度も伊織を呼んでいた。


「あ、ごめん! 聞いてなかった!」


伊織が謝ると、愛奈がそろそろ降りる駅だよと教えてくれた。


「ありがとう! あ、これからも愛奈をよろしくね!」


伊織は真夏と春海にそう言うと、愛奈と共に電車を降りた。伊織と愛奈が家に到着をすると、学校の側に怪物が出たってテレビで聞いたよと母親が二人に聞いてきた。


「出たけど、国の機関の人が倒してくれたよ」


伊織がそう言うと、愛奈が一瞬伊織を見たが愛奈は伊織に合わせることにした。


「二人で逃げてたら国の機関の人が出てきて倒してくれたの! 危なかったよぉ」


愛奈も言ったことで、母親は無事でよかったわと自身の胸を押さえながら二人に言った。


「心配かけてごめん! ちゃんと帰ってきたよ」


伊織がそう言うと、母親は二人を抱きしめて無事でよかったわと再度言った。


「お母さん苦しいよぉ」


愛奈が母親の背中を叩くと、母親はごめんなさいと言い二人を離した。その後二人は部屋に戻ると愛奈が服も再生しててよかったねと伊織に言うと、伊織は助かったよねと変えしていた。


伊織は部屋に入って部屋着に着替えると、窓際にあるベッドに寝転がった。伊織は自身の不思議な力のことを考えていると、頭の中に響く声のことを考えていた。


「あの声は多分、十年前にライブ会場で救ってくれた人がくれた力なのか? もしかしてあの人がこの国を一度救ってくれた人なのかな?」


自身で色々と思考を巡らせていると、愛奈が部屋の扉をノックして入ってきた。


「お兄ちゃん起きてるー?」


そう言いながら入ってくる愛奈は、ベッドに横になっている伊織を見ると、晩御飯だってと伊織に言う。伊織はすぐいくと言って、ベッドから降りて愛奈と一緒に二階のリビングに入る。そこには母親がカレーを皿に入れているところであった。


「カレーだ! 美味しいやつ!」


伊織が喜んでいると、愛奈が甘口だよねと鬼気迫る表情で母親に聞いた。


「今日はレトルト食品だから、愛奈のだけ甘口よ」


母親が甘口と言うと、愛奈はやったと喜び始めた。愛奈はからいのがにがてなので、カレーは甘口でさえも多少辛く感じてしまう。なので、甘口以外だと辛すぎて食べられないのである。


「よかったね! 愛奈のはこのカレーかな?」


伊織はカレーの皿の横に置かれているすり下ろしりんごカレーと書かれているパッケージを見て言う。


「絶対それね! あとサラダもりつけなきゃ!」


愛奈は母親の右横に立つと、手伝うわと言って一緒にサラダを盛り付け始めた。伊織はサラダができる間に、スマートフォンを見たりテレビを見ていると父親が帰って来たので晩御飯だよと教えた。


父親が着替えてリビングに来るとサラダの盛り付けも終わり、晩御飯が始まった。家族楽しく談笑しながら食べ、その後は風呂に入ったり、自室で伊織は寛いでいた。

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