第2話 それぞれの立場
「キラ様のお願いだとしても、それは無理なお話です。私たちは立場が違うのですから。」
「嫌だよ、そんなの、嫌だ、嫌だ、い」
「キラ様っ!そろそろご自分のお立場を自覚なさっても良い頃です。」
サイルはキラの言葉を遮り、力強く言い放った。キラは唇を噛みしめ、サイルから目を逸らした。
「もういいよ。学園に戻るよ。サイルには、もう迷惑かけないから。」
キラはそう呟くと、木から飛び降り口笛を鳴らした。ピーっという口笛の音が森全体に響き渡り、木々が呼応しているかのように震えた。すると、空から大きな赤いドラゴンが舞い降りてきた。
「ルーン、来てくれてありがとう。僕の友達は君だけだよ。」
キラは寂しそうな顔で微笑みながら、ルーンの顔を撫でていた。ルーンは、優しい目でキラを見つめ、自分の背中に乗ることを促すかのように、ゆっくりとしゃがんだ。ルーンの背中に乗ったキラは、まだ木の上にいるサイルに向かって叫んだ。
「僕は先に学園に戻ってるから」
そう言葉を残して、ルーンとキラは大空へ飛んでいった。
ルーンとキラが飛んでいった後を目で追うように空を見つめるサイルは、静かにため息をついた。サイルが指を鳴らすと、風がサイルの周りに集まった。
「学園へ行ってくれ。」
サイルの言葉に風が従う。サイルの体がふわりと浮かび上がったかと思うと、その場から姿が消えていた。
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