第6話

「先輩。いい具合でした。PDWとスコープ」


 後輩が、ゴーグルを外しながら戻ってきた。


「そのスコープ」


「自信作っす。瞳孔の開き具合に合わせて、距離を自動的に合わせてくれて」


「さすが町工場の時期当主だね。すごい」


「ありがとうございます」


 後輩。うれしそうな顔。こちらまで、うれしくなる。


「お」


 後輩のポケットから、最近のロックの曲。


「もしもし」


 彼が電話に出ている間、触らないようにしながら彼のスコープを覗いてみた。スコープと目との、吸い付きがすごく良い。ただ、大きさがネックだった。


「わかった。すぐ行く」


「どうしたの?」


 後輩。ちょっとだけ顔が険しい。


「後輩がちょっと。駄々こねてるみたいで」


「駄々」


 そんな時期なのかな。


「ちょっと行ってきます。先輩はここで俺のスコープいじっててください。大丈夫です。試作品なんで」


 彼が走っていく。

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