第45話 巨大イカ
「楽しみだね。」と家族で話している。
今、私たち家族は、車の中だった。
行き先はというと、水族館である。
普段、あまり水族館に行ったことがなかったし、子供にとっては初めての水族館だったため、行く前から家族みんなで、わくわくしていた。
家から、しばらくかかるが、その時間さえも楽しみの一環に思えた。
今から行く水族館は、水族館の中でも、とても広いらしく、たくさんの海の生き物が展示されているということだった。
私も、この水族館に行くのは初めてだったので、どんな生き物がいるのだろうと興味津々だった。
水族館までの距離が近づいてくると、大きな建物だったため、すぐにどこにあるか分かった。
建物が見えただけでも、テンションが上がり、子供と大はしゃぎした。
そして、水族館に着くと、駐車場に車を止め、さっそく館内へ歩いていった。
入り口から入ると、すでにそこから、大きな水槽が見えて、水中の生き物たちが気持ちよさそうに泳いでいた。
子供は、興奮して、その場所まで走っていき、新鮮な顔で魚たちを見ていた。
その顔を見て、今日ここへ来てよかったなと思いながら、私も水中の魚たちを、隣で見た。
だが、この水族館の水槽は、ここだけではない。
入り口でもらったパンフレットに紹介されているフロアマップには、まだまだ、たくさんのエリアとその生き物たちがいた。
パンフレットを見ていると、どうやら海の生き物の他にも、川や湖などの生き物もいるらしかった。
フロアマップを見ていると、本当に広いのがよく分かり、一日で全部見て回れるだろうかと思うくらいだった。
とりあえず、おすすめの道順があるみたいなので、その順に家族で見て回ることにした。
水中や水の周辺にすんでいる、大きい生き物から小さい生き物まで、さまざまな生き物が水槽に展示されていた。
どの生き物も、普段見ないような生き物ばかりだったので、とても興味深く、刺激的だった。
色んなエリアをゆっくりと家族で見て回っていると、まだフロアマップのエリアの半分ほどしか見ていないのに、お昼ごはんの時間になってしまった。
でも、心配はなかった。
この水族館は、レストランまで館内にあるのだ。
私たちは、一度おすすめの道順から外れて、レストランへ向かうことにした。
レストランの中へ入り、メニューを見ていると、和食や洋食など色んな種類のメニューがあり、どれも美味しそうだった。
私は、その中からハンバーグ定食を注文した。
定食には、ハンバーグに、ごはんとお味噌汁とサラダが付いていて、食べ応えがあった。
レストランの窓からは、魚たちが泳ぐ水槽を見ることができて、とても雰囲気のよい場所で食事をすることができて、家族全員が満足した。
そして、美味しい食事を食べ終わって、家族でまた、おすすめの道順に戻ろうとすると、館内放送が流れた。
どうやら、今からイルカショーが始まるようだった。
私たちは、フロアマップを見ながら、イルカショーの場所まで行き、そこで迫力のあるショーを楽しんだ。
それから、また、おすすめの道順に戻り、残り半分のエリアを見て回ることにした。
楽しみながらエリアを進んでいき、フロアマップを見ていると、そろそろ出口に近づき、エリアの展示も終わるころかなと思った。
すると、一番最後に展示されていると思われる大きな水槽の方から、物凄い音が響いてきた。
どんと大きな音がして、その水槽の方には、誰もいなかった。
一体、何が展示されているのだろうと思い、家族でその大きな水槽の前に行ってみた。
すると、そこにはなんと、体長二十メートルほどの、かなり巨大なイカが泳いでいた。
目だけで数十センチもあり、あまりに巨大なため、見た途端に怖いと思ってしまい、水槽には近づけなかった。
そして、その巨大イカは、何度も展示用のガラスにぶつかっていた。
こちらを威嚇しているのか、それともこのガラスを割ろうとしているのか、分からないが、とにかくその威力が凄かった。
何度もガラスに体当たりしてくるので、本当にガラスが割れてしまうんじゃないかと思って、私たちは、さらに水槽から離れた。
他の人たちも、この水槽にだけは近づいていなかった。
しかし、これだけ大きな音がしているのに、隣の水槽では、カピバラが呑気にえさを食べていた。
このカピバラたちは、この状況に慣れてしまったのだろうか。
だが、カピバラはどうであれ、見ている人たちは、怖いに決まっている。
こんな危険な生き物を、こんなところに展示していて大丈夫なのだろうか。
色んな疑問が湧いてきたが、とりあえずは、この水槽から離れることにした。
せっかく、水族館で楽しい気分になっていたのに、最後の方にテンションが下がってしまった。
下がり気味なテンションのまま、その先を歩いていくと、出口付近にお土産が買えるショップがあった。
家族でショップの中に入ってみると、そこには可愛らしいぬいぐるみや、美味しそうなお菓子が、たくさん売っていた。
それを見て、再び、私たちのテンションは上がった。
そこで、ぬいぐるみやお菓子などを、いくつか買って、家に帰るためにショップを出た。
すると、まだあの巨大イカが暴れているのか、向こうの方から、どんと音がしていた。
私たちは、巨大イカを気にしながらも、駐車場へ向かい、車に乗って、家に帰った。
今回の水族館の思い出で、一番印象に残ったのは、もちろん、あの巨大イカであることは、言うまでもない。
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