第4話 麦茶がない
とある夏の物凄く天気のいい日。
暑い・・・。
セミも鳴いていて、お日さんがじりじりと照り付ける。
よし、今日は、家族でプールに泳ぎに行こう。
そう決めて、家族みんなで行く準備をし、車に乗り込む。
車で1時間ほど、近くはないが、少し離れたところに屋外プールや屋内プール、ウォータースライダーや流れるプールなど、さまざまな種類のある大きなプールに向かった。
プールに到着すると、今日は休日のせいか、家族連れの人がとても多くて、広い駐車場に車がもうほとんど止まっていた。
人が多すぎて、少しでも離れると迷子になりそうだったので、注意しながら家族で行動する。
さっそく、水着に着替えて屋内のウォータースライダーに向かう。
かなりの人気で何人か行列になっていたが、それでも気長に待つ。
屋内のウォータースライダーは、屋外のウォータースライダーよりも短く、そこまで傾きが急ではなかったので、子供と一緒に楽しむことができた。
すべった後、屋外のプールにも行ってみようかと子供をさそったが、屋外は暑いし、スライダーの傾きも急だから、屋内で遊びたいと言われたので、ずっと屋内のプールで遊ぶことにした。
屋内なので、お日さんに照らされることもなく、流れるプールに入って、ゆっくり流されながらしばらく楽しい時間を過ごした。
そして、プールでの楽しい時間をたくさん満喫した後、家に帰る準備をする。
家族で着替え終わって、プールの建物を出て、駐車場に向かおうとすると、子供がふと喉が渇いたと言った。
そういえば、プールで遊んでいる間、水分補給していなかったなと思う。
私も何となく喉が渇いている。
駐車場の車に乗る前に、自販機で麦茶を買って帰ろう。
そう思って、プールの建物を出て直ぐのところにあった自販機で麦茶を買おうと寄ってみた。
麦茶はあるかなと探してみると、コーヒーや栄養ドリンク、エナジードリンクなどは売っているのに、麦茶が売っていない。
私はともかく、子供はいつも麦茶を飲んでいたので、なるべく麦茶を買ってあげたかった。
もしかしたら、プールの建物の中にも自販機があったかもしれない。
そう思って、もう一度、建物の中に戻り自販機を探す。
数分ウロウロとしながら、ようやく二階の長い廊下の真ん中あたりに自販機を見つける。
そこには、麦茶があった。
たいていの自販機には、麦茶は売っているものだから、さっきの自販機がたまたま無かったのだろう。
そう思って、財布から小銭を取り出し自販機に入れようとする。
そして、麦茶のディスプレイを確認すると・・・。
あれ?・・・ない!
今確かに、ディスプレイの中に麦茶があったのに、麦茶がなくなっているのである。
売り切れとかそういったことではなく、麦茶自体がなくなってしまっているのである。
よく見ると、麦茶のペットボトルが表示されていたところには、同じ茶色の液体ではあったが、ラベルが違うものになっていて、栄養ドリンクのようなものに変わってしまっていた。
一体どういうこと?
不思議に思いながらも、栄養ドリンクのような飲み物を見つめていたが、それが麦茶に戻ることはなかった。
私は、ここで麦茶を買うことを諦め、帰り道にコンビニかどこかに寄って買おうと思った。
家族で車に乗り込み、帰り道の途中にコンビニがないか探すが、なかなか見当たらない。
どうしようと思っていると、目のまえに大きなお土産屋さんが見えてきた。
ここなら麦茶くらい売っているだろう。お土産も見れるし一石二鳥だ。
そう思って、車をお土産屋さんの駐車場に止める。
建物の中はとても広くて、冷房が効いていて涼しかった。
さて、まずは麦茶のペットボトルを探そう。
そう思って、店内をグルっと回って麦茶を探す。
・・・ない。
飲み物のコーナーに、サイダーやコーヒー、コーラなどは売っているのに麦茶がないのである。
さすがに、これだけ大きなお店に麦茶が売ってないわけがないだろう。
私は、レジのおばさんに麦茶がお店のどこにあるか尋ねてみる。
すると、レジのおばさんに「ここ、麦茶は売ってないのよ。」と言われた。
そんなことってあるの?
これだけ探してるのに・・・。
私が困惑していると、レジのおばさんが言ってくれる。
「この店を出て、左に曲がってすぐのところに自動販売機がいくつか集まってる場所があるから、そこならあるかもしれないわよ。」
とても貴重な情報だ。
私はおばさんにお礼をいって、すぐその場所へ歩いて向かうことにした。
そこは思ったよりも近くにあって、自販機が十台くらい置いてある広いところだった。
ここなら絶対にある。私は確信した。
一台ずつ、麦茶があるか確認していく。
ない・・・。
どの自販機にも麦茶以外のものは揃っているのに麦茶だけがない。
とうとう最後の一台になった。
私は真剣にその自販機のディスプレイを見つめる。
あった!
やっと麦茶を発見した。
苦労して探した甲斐があって、嬉しくなった。
財布から小銭を取り出し、もう一度麦茶を確認する。
・・・あれ?また!?
また麦茶が麦茶じゃなくなっている。
同じ色の液体なのに、ラベルがよく分からない英語のような表示に変わっていた。
絶対におかしい。
これじゃあ麦茶がいつになっても買えない。
どうしよう・・・。
物凄く悩んで悩んで悩んでいたら、目が覚めた。
そうか・・・。これは夢だったのか。
どうりでおかしな現象が続いたわけだ。
そう思って起き上がった後、冷蔵庫から麦茶を取り出して飲んだ。
夢の中に麦茶はなかった。
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