文選補亡 由庚(道理に添った統治)

由庚ゆこう



蕩蕩夷庚とうとういこう 物則由之ぶつそくゆし

蠢蠢庶類しゅんしゅんしょるい 王亦柔之おうじじゅうし

道之既由どうしきゆう 化之既柔かしきじゅう

木以秋零もくじしゅうれい 草以春抽そうじしゅんちゅう

獸在于草じゅうざいうそう 魚躍順流ぎょやくじゅんりゅう

 広々とした、平らかな道。

 道理は、すべてこの道に依る。

 種々様々な物事を、王が安らげる。

 道は王によって示され、

 教化された人々は、安らぐ。

 木々は秋に葉を落とし、

 草は春先より芽生える。

 獣たちは草むらの中にあり、

 魚たちは流れに従い、泳ぐ。


四時遞謝しじていしゃ 八風代扇はちふうだいせん

纖阿案晷せんああんき 星變其躔せいへんきてん

 四季は順番に去りゆき、

 周囲から風が吹き込む。

 月の女神は満ち欠けを考え、

 星はその航路を思う。


五是不逆ごぜふぎゃく 六氣無易ろくきむい

愔愔我王いんいんがおう 紹文之跡しょうぶんしせき

 五つの天気が逆転することはなく、

 六つの気が変化することはない。

 穏やかなる、我らが王。

 周文王のお心をよく継いでおられる。




○文選補亡詩 由庚


あらゆる物事には道理があり、その道理より外れることはない。周の文王がごとき明主の統治教化もまた道理にかなったものである、と讃えるのである。……なるほど、束晳のような時代の人物がこの詩を詠んでいたとすれば、「しかるにうちのコーテーヘーカはいかがなんでしょうねえええええぇぇえええ?」的なニュアンスも感じずにはおれぬな。

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