第8話社会人には「強引さ」が必要です。
俺が時間を
僕は1人目の彼女、逢峰アリスと接触を図る為に、朝早くから学校へ向かった。彼女は平日の早朝、校舎裏にある花壇に水をやるのを日課として普段から一人でいる。(彼氏らべ)
それを逃すと現在彼氏でない俺からすれば、学校でも目立つ彼女への接触は難航する。
もし、ここで出会えなければ次の日に持ち越して、もう一度花壇に行こうと思っていた。
幸運にも彼女はそこにいた。
彼女は急に現れた俺を見つめた。
暖かい日差しを彼女のブロンドが反射し、まるで月のように輝きを放っている。また彼女の優しそうに手にしている緑色のゾウさん型ジョウロが、浮世離れしていて
「…っアリス、俺とデートしろ。」
「…」
キョトンとした顔が彼女の幼い顔をより強調して可愛らしい。その容姿から滲み出る神々しさにあてられて、言葉に詰まる。歯を食いしばって、続けろ。
「俺は柊 優斗。優斗でいい。次の土曜日、朝10時に
彼女が本質的に俺と会った日と変わらなければこれでいい。彼女にはこの強引さが必要なんだ。
高校時代、彼女はその容姿から幾度となく男女限らず告白をされていたが、それはことごとく散っていった。彼女が無言を貫くという結果で。
もし、俺よりも前に強引に彼女を連れ回すような男が現れたら簡単に付き合えていただろうし、きっといろんな意味で上手くいっていたかもしれない。俺は彼女と最後まで歪な関係でしかなかったのだから。
彼女の本質は『自己決定権が自分にない』ところにある。だから、選択を強いられることを尋ねられれば無言を選択するし、彼女が
俺が思うに、彼女の問題はここにある。あの魔法使いがいう"彼女を救う"ということはそういう事だろう。
彼女に自己決定権を彼女自身に返すのだ。そうすれば、あの手紙内容を「クリア」といえるだろうし、変えようのなかった俺と
俺は彼女に背を向けて、軽快に走り去った。
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