第2話 プロローグ②

 ――ライはこのパーティの斥候である。


 パーティより先行してこの先の様子を見に行ってるところだ。だからこそわかることがある。このダンジョンはやばい、と。


 他のパーティメンバーは気が付いていない。この事実を伝えるかどうか、だ。もし虚偽の報告すればパーティの仲が悪くなるだろう。


 ………斥候として拾ってくれた恩義もある。正直に伝えるとするか。重い足取りでパーティのところに戻ることにした。





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「もどったぜ」


 俺はキャンプ地に帰ってきて皆に挨拶をした。


「おう、おつかれさん」


  俺に返事を返すのは【カイル】

 聖騎士の称号を持つ騎士だ。王都での活躍が認められた彼がなぜ冒険者のまねごとをしているのか? 謎である。


 ――どこかの高貴な貴族という噂があるが詳細は不明だ。


「おう、ライか。首尾はどうだい?」


 こいつは、レンジャーの【レイラック】

 短剣と弓を使いこなすパーティでも指折りの遊撃だ。斥候でもあるので、俺が入る前本来はレイラックが俺の立場を務めてるはずだった。身のこなしも完璧だ。


 ――こんな凄いやつがいるのになんで俺なんか誘ったんだ?


 ………まあ、わからなくもない。本来遊撃をする奴は最前線に行ってはいけない。パーティの欠点を補うのが仕事だ。

 それゆえ、パーティの火力弱体化させないが為に遊撃に専念させたいんだろう。



「おかえりなさい、ライ! どこもケガしていない?」


 この子は【エレナ】

 見た目はエルフの少女だがこのパーティの魔術担当だ。

 基本四属性を使い、時にはパーティを守り、時としてこのパーティの最大火力をたたき出す。


 パーティの守護神ともいえる立ち位置にいる。



「……ライか、戻ったか」


 この寡黙の重鎧をまとった男は【ザック】

 このパーティで敵のヘイトを一手に引き受ける。盾による守りと盾による攻撃まで使うタンクと呼べる男だ。


 この男が攻撃を受けていなければ、他のメンバーもこの場に生きてはいないといっても過言じゃない。



「あら、ライ戻ったのね」


 この女性は王都でも聖女と呼ばれる【アスナ】

 このパーティの回復専門家のヒーラーだ。


 ヒーラーと聞くとか弱いイメージを持つが、彼女は別格だ。聖属性を持ち、自身に強化魔法をかけ、なぜだか………先頭に出たがるモンク僧だという。


 常にだれかの傍にいて攻撃をしながら誰かをいやす前衛型ヒーラー。



 ――どいつもすごいやつばかりなんだが、個性が強いのが玉に瑕だな



 ちなみに俺は槍使いで前職に盗賊という、スピードを重視した攻撃を繰り広げるアタッカーだ。もちろん教養もあるので魔法を始め、ある程度のことはできる。


 それに幸い回復魔法を使える人はこのパーティには多くいる、というより俺含めて全員使える。


 ――カイルはいったいなぜこんなメンバーを選んだのかが不明だ。


 …………ただ、これだけのバランスのいいパーティは、この先に進むにはふさわしいと言える。




 ――こうして俺は、この先の事についてメンバーについて説明することにした。

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