東條内閣の瓦解

第二十一話 1946年選挙

 日本が戦局を好転させ、快進撃を続ける中、東條英機の任期満了ということで新たな首相を決定する選挙が10月中旬に投票が、そして12月18日に告示が行われた。立候補者は自由主義派の東久邇宮殿下と吉田茂。そして国粋主義派の東条英機の三名である。

 今回の選挙も東條英機の優勢のまま第三次東條内閣が発足するであろうと思われていた。が、「早く戦争を終わらせたい」と思う民意とは裏腹に好戦的な対米演説を行う彼の支持率は日に日に下落してゆく。その中で逆に猛進撃を行っていた政治家がいる。それは自由主義派閥の皇族政治家、東久邇宮稔彦殿下ひがしくにのみや なるひこでんかだ。彼の反戦演説は民衆の心を惹く。


「連合国と日本が有利な和平を」


「愛しの家族を故郷へ」


この二つをスローガンに同じく反戦主義者の斎藤隆夫さいとうたかおとともにシビリアンコントロールの失われた国会に一筋の光を差し込ませようと奮闘していた。


 そして、告示日が来た。首相に選出されたのは東久邇宮稔彦殿下。長年続いた悪魔の東條英機の独裁内閣は終焉を迎える。


 新首相に就任した東久邇宮殿下は国務大臣に斎藤隆夫、外務大臣に吉田茂、重光葵、新陸軍大臣に殿下の兼任と下村定を据え、1946年12月31日に東久邇宮内閣が発足した。そして東久邇宮殿下は合同参謀総長に就任することとなった。


 内閣成立後に行われた御前会議にて「前近代的欧州主義」と批判され、終戦までに大東亜攻略指導大綱の修正が行われることとなった。

 そして終戦後には帷幄上奏制度いあくじょうそうせいど現役武官制度げんえきぶかんせいどの廃止、女性参政権の確立などを行うと御前で明言した。それに裕仁天皇は賛成的な意見を述べられた。

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