第十九話 太平洋の覇者は誰なのか

 ニ号作戦の立案が完了し、実行に移すためにボルネオの港には聯合艦隊の大艦隊が着岸し、薪水を補給し準備を整えていた。


 そして来る4月10日、近海の安全が確認さてたのと同時に三十万人がニュージーランドへ、そして五十万人がオーストラリアへと出航した。連合国は上陸部隊を確認するも、豪州海軍は昨年のインド洋海戦で壊滅し、また二月のマラッカ沖海戦で大損害を受けた米海軍は空母機動部隊が護衛する輸送船団を攻撃する余力など残っていなかった。


 そして発進から三か月後に第一軍が豪州西岸に到着。重要都市であるパースに上陸を開始した。


上陸用舟艇が砂浜に接地し、日本兵が続々とパース海岸に流れ込む。豪州兵士はトーチカに籠り機関銃で弾幕を張るが、射撃の一足先にトーチカに近づいていた日本兵に制圧される。海上では大和と武蔵の四十六糎艦砲が火を噴き、市街地に着弾する。舗装された道は捲れ、建物は崩れる。豪州軍の徹底的な抵抗もむなしく、数時間程度の交戦で守備隊は壊滅。一部が捕虜となり、それ以外は市街地でゲリラ戦を行ったが、ゲリラ戦を行った彼らも殺されるか捕虜になるかの二択であった。

 そして、パース沿岸の指揮所には日本の国旗、ではなく、日本軍の旗である旭日旗が掲げられた。


 そしてそのころ、ニュージーランドにも日本軍は上陸していた。自国が持ちうる軍隊の十倍以上の兵力と鉄の塊が突如海岸に現れ司令部は大混乱に陥る。数時間に及ぶ上陸作戦は無事成功し、オークランドを中心に南下を始める。


 二つの戦線において練度の高い帝国軍は植民地軍相手に圧倒的優勢を保っていた。先の上陸戦でパースを占領した日本軍は南部の牧草地帯を経由し首都を攻撃する作戦内容に従い、侵攻を開始した。

 彼らはもともと水際作戦しか考慮していなかった。上陸後は戦車部隊を筆頭に艦爆隊などとの協力の下、敵部隊を蹂躙しながら進んでゆく。約十日ほどで北島を完全に制圧し、その翌日には首都のウェリントンが陥落。ニュージーランドは本拠地を変え徹底抗戦の意思を表明するが、その数日後、首都移転先のクライストチャーチが陥落したのと同時にニュージーランド政府は降伏宣言を出し、日本の快進撃は世界中に報道されることになった。

 ニュージーランドで日本軍が奮闘している中、オーストラリアではただただ無人の牧草地を歩くのみ。時折現地の若者を無理やり徴兵したであろう敵軍と偶発的な戦闘が起こったが、爆発する鉛弾をぶち込んで万事解決だ。

 そしてオーストラリアの横断を開始して一カ月。8月の14日にオーストラリアの首都キャンベラを占領し、その後1カ月半をかけ東海岸をすべて占領。そしてオーストラリア軍の余力尽きた9月20日、オーストラリア政府は降伏文書に調印。無条件で日本に降伏した。


 そして、この戦闘において太平洋の大半は日本の手に落ちたことになった。太平洋の覇者は、我が大日本帝国である。

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