第十八話 ニ号作戦
ドイツに新型爆弾が投下され、第二次ノルマンディー上陸作戦が決行された。親衛隊全国指揮官のヒムラーが新型爆弾の攻撃に焼かれ、親衛隊の士気と統率は下がり、暴力行為が頻発していた中での打撃作戦だったために軍上層部も現地も大混乱に陥っていた。1944年時の一時優勢だったころに要塞化されたフランス沿岸はたやすく突破され、強襲上陸から一カ月たったころには連合軍はナチス占領下のパリに近づき、ファシズムという呪縛から解放せんとしていた。
そんな中、これが最後と見た合同参謀本部は海軍軍令部を中心に太平洋の覇権を懸けた一大上陸作戦、「二号作戦」の計画を水面下で実行しようとしていた。
-二号作戦
それは今までに立案、遂行された揚陸作戦の中で最も規模の大きな作戦。輸送船を800隻超、聯合艦隊をフルに稼働させ、艦載機約300機、陸上機約800機を動員し、総歩兵戦力約八十万を用いたこの作戦は「甲作戦」「乙作戦」の二つに分類され、甲作戦においてオーストラリアの確保、乙作戦においてニュージーランドその他島嶼部を確保する計画であった。
その中で危惧されるのが以前から警戒されていたセンチュリオン巡航戦車とトータス重突撃戦車の存在である。彼らは七糎半戦車砲の弾を跳弾させる分厚い装甲板と日本の戦車の装甲をやすやすと貫徹できるとてつもない火力の持ち主だ。それに対抗すべく、日本軍は五式中戦車に加え、四式自走榴弾砲「ホロ」、そして海軍長十二糎自走砲の正式化版、長十二糎対戦車自走砲「ホト」を合計五百輌動員し、今まで成し得なかった「物量による制圧」を目標に綿密に侵攻案が練られた。
南太平洋を制圧すれば、アメリカへの大打撃を与えることが可能になる。この作戦を失敗には終わらせることは絶対にできない。
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