太平洋の覇者は誰なのか(オセアニア諸島制圧戦)
第十五話 インドネシアからの電報
立春だというのに冬の寒さも抜けぬ二月の五日。合同参謀本部に一本の電報が入った。
「スマトラ、ジャワ、ボルネオに敵襲。米軍は兵員を揚陸させている模様。」
多量のゴム資源と石油が産出される本土の次に重要な拠点であるインドネシア諸島に米軍が上陸を仕掛けてきた。推定される兵力は約七十万人。航空隊からの情報ではボルネオ島近海に空母六隻戦艦三隻からなる主力艦隊が停泊しているとのことだった。海軍軍令部は即座に呉で改修中であった聯合艦隊に出航を命じ、彼らは同日中に出航した。
一度台湾に寄港し燃料等を補給した艦隊は米艦隊の停泊するボルネオ島近海へと向かっていく。
二月八日の夜、マラッカ海峡で敵艦隊を補足した聯合艦隊は奇襲する形で戦闘態勢に入った。六隻の空母から艦戦隊艦爆隊が数百機発艦。敵艦隊も咄嗟に艦載機隊を発艦させ臨戦形態となったが、まるで七面鳥落としのようにパタパタと米軍航空機は撃ち落されていった。それもそのはずだろう。幾度にわたる改修の末戦闘機は烈風に、爆撃機は流星へと改良されていたからだ。
第一次攻撃において爆装零戦による急降下奇襲爆撃に成功し一隻の空母甲板に大穴をあけた。艦爆隊も負けじと駆逐艦や重巡洋艦、軽巡洋艦を目標に爆撃を敢行。結果重巡二隻、駆逐艦六隻を撃沈させ、空母を中破させた。唐突な敵襲に米軍の指揮系統は一瞬マヒしており、いつものような連携が行えていなかった。
そして第二次攻撃において大和、武蔵の艦砲射撃がさく裂。敵航空母艦の甲板を貫徹し、駐機所、弾薬庫誘爆という大被害を与え轟沈させた。
米海軍は被害を鑑みて一時撤退したものの、翌日部隊を再編制して再出撃。ここに第二次マラッカ沖海戦のゴングが鳴らされた。
この海戦は米軍による怒涛の猛烈攻勢によって戦闘が超近接化。複数回戦艦による砲撃戦が行われる異例の事態となった。ここで活躍したのが前日の第一次マラッカ沖海戦で活躍した超大型戦艦の大和と武蔵。二隻は砲撃戦を前線で対応。世界最大級の手法である四十六糎三連装砲を絶え間なく打ち続け、その砲の威力を惜しみなく発揮した。
そしてその激しい砲撃によって米駆逐艦が被弾。船体が真っ二つに折れて炎上、轟沈した。加え前線で砲撃をしていた戦艦三隻にも命中。装甲貫徹の後弾薬庫を誘爆させ二隻を撃沈。もう一つは戦艦戦隊側部に命中しそのまま浸水、転覆からの沈没した。
昨日圧倒的な力で敵艦を沈めた航空隊は空母甲板に爆撃を成功させ戦闘継続を不可能に。しかもそれを二隻も。雷装した艦爆隊は重巡、軽巡に雷撃。見事撃沈させた。そしてその他駆逐艦や潜水艦などの活躍によって、第一次、第二次の二日に及ぶマラッカ沖海戦は航空機や駆逐艦を多量に失い、大和を中破させたが敵主力艦隊の空母六隻のうち四隻、戦艦四隻中三隻、駆逐艦十二隻中十隻、重巡六隻中二隻、軽巡三隻中一隻撃沈の大戦果を挙げ大日本帝国海軍の大勝利で幕を閉じた。
制海権の安全が確保されたのと同時に三十万人の日本兵が上陸されたスマトラ、ジャワ、ボルネオに向けて出港した。
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