超高速ロケット戦闘機秋水
第十二話 秋水は東京の夜空に
「秋水の整備状況も良好か。諸君。東京に大規模爆撃の予兆がある。君達の実戦はその時になるだろう。おそらく時速1000kmを超える領域に入る。しかし君達ならその壁も乗り越えられると信じている。けたたましく戦い、我が国の土地を守り、そして無事にここに還ってきてくれ。健闘を祈る。」
そしてその夜、敵B29爆撃隊が我が国の防空圏に侵入した。関東地方を目標にその重い巨体を揺らしながら接近する。偵察機の情報によると視認できる範囲で確認されたのは約500機のB29とその他P51マスタングなど多数の護衛機。おそらく東京を焼き払いに来たのだろう。そうはさせまいと総合参謀は秋水部隊の発信を命じた。
「えた...見えてきたぞ...ジャップの本拠地が」
雑音交じりの無線で米兵たちが会話をしていた。
「きれいなところなんだがな...火の海にするしかないのか...」
「今更日本に情けを掛けるのか?」
「火の海にするぞ。」
「にしても、この数の護衛機で十分なのか?」
「聞いた話によればジャップはまともに飛行機さえ作れないらしいぞ」
「あと、ジャップの飛行機はここまで上がっ...」
突如爆音とともに編隊の一機が火を噴き東京湾の沖合に落ちてゆく。
「なんだ今の音は!護衛機!詳細を求む!」
「こちら護衛機!詳細不明!高速で飛行する航空機だということしかわからない!」
「やばい!七、八、九番機が落とされた。あの高速で飛ぶ飛行機を叩き落せ!」
唐突の超高速航空機の登場で彼らは大困惑していた。続々と爆撃機は東京湾に沈められ、軽いパニックに陥っていた。
「だめだ!銃座で撃っても掠りさえしない!」
ある機体では後部機銃の兵士がそう嘆いていたらしい。
それもそのはず。秋水は離陸して約五分でB29の飛行する39000ft(12000km)に到達し、そしてその機体には超強力な30mm機関砲が搭載され次々と敵機を落としていった。アメリカの「マリアナの七面鳥撃ち」なら「大和の蠅叩き」といったところだろう。彼らに襲撃されたB29とその他護衛機部隊は必死の抵抗をしたものの今作戦に準備した秋水の数は実に500機。結局成す術もなくアメリカ軍爆撃部隊はほぼ壊滅状態に陥った。日本軍パイロットもなれないロケット戦闘機での戦闘だったため500のうちの約230を損失したものの、米爆撃隊の約半数、300機を撃墜し、結果的にB29爆撃隊は爆撃を中止し撤退していった。
その後も継続して米軍は本土爆撃を試みたが様々な地域に秋水が配備されると爆撃隊は地震の被害を鑑み沈静化。1945年末にはほとんど空襲は行われなくなり本土にはひと時の安寧が訪れた。
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