第5話 パーティー

「お、二人ともこんな所にいたのか!」


暴れ疲れた俺が諦めて肩の上でぐったりしていると、ピクミンが誰かに声を掛ける。

顔を上げて確認すると、それは小さな女の子と隻腕かたうでの女性だった。


小さなこの方は8-9歳ぐらいだろうか?

黒いマントを羽織り、頭には大きな三角帽子が乗っている。

目は大きくぱっちりとしていて、まるでお人形さんの様に可愛らしい顔立ちをしていた。


もう一人の女性は左腕が肩のあたりから無かった。

赤毛の短髪で、美人ではないが愛嬌のある可愛らしい顔立ちだ。

年齢は多分二十歳にいっていないぐらいだろう。


「違約金はどうなったのかしら?」


「ああ、それならばっちりだ」


小さな女の子の質問に、ピクミンは問題ないと答える。

それにしても大人びた喋り方をする少女だ。

違約金の事を聞くと言う事は、この子はパーティーメンバーと言う事なのだろうか?

いや、いくら異世界でも流石にこの年齢で冒険者と言う事は無いだろう。


「その肩の人は?」


「ああ、こいつか?こいつは今日から俺達のパーティーメンバーだ!」


「「「は!?」」」


ピクミンの言葉に、俺を含めた3人の言葉がハモる。

色々教えてくれるとは言っていたが、パーティーを組むなんて聞いてないんだが?

まさに寝耳に水だった。


「マスターにこいつの面倒を見る様に頼まれてな。それが違約金免除の条件だ」


「マスターに頼まれた?何者なの?」


小さな少女が訝し気に俺を見る。


「なんでも異世界人らしいぜ」


「異世界人?普通の人にしか見えないけど?」


赤毛の女性が俺の顔を覗き込む。

鼻毛発見!

でも俺は優しいから口にして恥をかかせるような真似はしない。


黙って手を伸ばし、そして豪快に毟ってあげた。

我ながら紳士だ。


「ぶぎゃあっ!?いきなり何すんのよ!?」


「お構いなく」


「お構いなくじゃないわよ!」


「ぶげっ!」


思いっきりひっぱたかれてしまった。

優しさって難しいね。


「こんな男とパーティーを組むなんてまっぴらごめんよ!」


「おいおい、もう引き受けちまったんだから今更断れねぇよ。それとも、違約金を払うか?」


「う……」


赤毛の女性黙り込む。

いつの世でも貧乏ってのは悲しいものだ。


「まあ仕方が無いわね。カティも我慢なさい」


「ぅー」


三角帽子の少女に言われて、赤毛の女性――カティは頬を膨らませる。

これではどっちが子供か分かった物では無い。


「じゃ、話もまとまった事だし。飯だ飯!今日はゴッドテイルで肉三昧だ!」


「ゴッドテイル!?」


ゴッドテイルと聞いた瞬間、赤毛が目を丸める。


「マジで!?」


「応!大マジよ!」


「あそこに行くのも久方ぶりね」


三人のテンションの高さから、そこそこいい店だと言うのが伺える。

そんな所で奢って貰っていいのだろうか?

というか、喰い終わってから自分の分は自分で払えとか言われないだろうな?


「なあ、俺金持ってないけど本当に良いのか」


「応!気にするな気にするな!わはははは」


ピクミンは機嫌よく快活に笑う。

どうやら大丈夫そうだ。

なら遠慮なく御相伴にあずかるとしよう。

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