第21話

◇ PM5:00


 これ、と、差し出した小さな花束に、2人は大いに感激してくれた。


 今日は、どこへ行ってきたの? 与えた金の使い道が気になっていたこともあり、ミナはここ数日、子どもが帰宅すると必ず尋ねてきたが、そのたびに、出る答えは、マリナハウスでお茶、犬と遊んだ(マリナハウスの近くの公園には、気に入った犬と一定時間自由に触れ合える有料のドッグパークがある)、が専らであった。それだけのことをすればもう使えるお金は無いだろうに、その中から自分たちのためにプレゼントを買ってきたのだ。

『お金持ちからもらう豪華なプレゼントよりも、ずっとずっと価値があるわね』

 2人のことを考えながら、そうしてようやく選んだという頬を上気させての説明に、母娘は顔を見合わせてにっこりと微笑んだ。


        ***


◇ PM5:40


「あげる」

 帰宅したカイに、子どもは気のないそぶりでNo.2 レアアイテムを差し出した。

「おっ! どうしたんだこれ?」

「ガチャポン、やってみたらこれが出たから」

 淡々と告げると、カイは、へぇ! と瞠目してみせた。

「No.1ほどじゃないけどさ、これもかなり出づらいんだぜ。それをあっさりゲットするなんて、お前、かなりの強運の持ち主なじゃないか!?」

 興奮気味な彼に髪の毛をくしゃくしゃにかき混ぜられながら、レイは、まぁね、とちょっと得意げな顔で呟いた。

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