第17話
「………」
誰かに呼ばれた気がして目を開けると、はるか上空に揺らめく水面が見えた。上空から差し込む光が、水面のさざ波を映してゆらゆらとかたちを変える。
ああ、美しい、そう思いながら、腕を、指を差し伸べる。そうするうちふいに胸が詰まり、深く細い息をそっと吐き出した。この感情を、何と名づけよう? 哀しみに最も近い気がするが、それとは少し違う。体のどこかが、きり、きり、と痛むようだ。正体不明の気持ちに揺さぶられて、胸元の“お守り”を、強く握る。そうしながら、水底に、深く深く沈んでいくような感覚を味わった。
目が覚めると、なぜか涙が顔を伝っていた。
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