第36話  戻る選択

大輔はいきなり話を切り出した。


「なあ、少し戻らないか?戻らないと行けない気がするんだ」


「どういう事だ?」


「なんかさ、目覚めたら見た夢に従う必要を感じたんだ。夢では輸送の馬車を襲うんだよ。多分仲間が乗っているんだ」


「お前かがリーダーなんだから皆お前に従うよ。詳しく教えてくれ」


 大輔は臨死体験中に闘技場で捕まった者が敵国に送られる夢を見たと話す。先の分岐路を通ると。出来れば襲って助けたいと。ガラグは大輔に行動を託すと言い皆頷く。


 確証がない話だが、皆既に大輔は勇者と認識していた。

 確かに心臓が止まっていたのを皆確認していたのだ。それが勝手に生き返ったのだから奇跡として本当に大輔は勇者だと認めたのだ。


 実際は雷が胸に落ち火傷をしたものの心臓が再鼓動を開始したのだ。


 目覚めた時に無意識に自らを治療していた。服が焦げていたが戦闘中の事としか思わなかった。


 そう、強運が発動し、黒焦げにならない強さの雷に打たれ、心臓が動き出したのだ。しかも脳死になる前に。ただ大輔に多かれ少なかれ影響が有り、それが出ていたのだが誰も気にしていなかった。


 オークから魔石と討伐証明部位を回収したが、大輔はその醜い生き物に嫌悪感しか感じなかった。


 魔物と言われる人類の敵は心臓に魔石と言われる魔力の結晶があると説明された。ギルドと呼ばれる冒険者への依頼を斡旋する組織に提出するとお金になると言う。今後の為回収したが、とんでもない世界なんだと何となく理解した。ダンジョンでは体は霧散し、魔石と偶に武器などを落としていくと。


 魔石を抜き取り出発の準備が出来たので分岐路に向けて出発する。


 途中街に寄り情報収集と飼葉、食料を確保する。


 そして斥候が来ていた旨を把握した。本体は来ないのだろうが、一部隊が宿を襲ったと聞かされ胸を撫でおろしていた。


 分岐路に向かう為出発しようとし、街を出ようとしたら街の入り口で宿を襲った一部隊と遭遇した。25人いたが即時戦闘になり、ケイトとクレールが特に狙われた。大輔は町中でファイヤーボールを放ってしまい、瞬く間に街の門が燃えてしまう。しかし10人を倒した。街はこの25名に占拠されていたのだ。門に見張りを置き、のこのこやってきた者が中に入り込み、出る所を襲う感じだった。街の冒険者は殺されるか捕まっていたのだ。程なくして敵を倒し、街を開放した。火はケイトが消していく。

 頼むよと大輔がケイトの頭に手をやると魔力がケイトに流れ込み、大量のウォーターボールを発生できて、一気に消すことができたのだ。大輔は大量の魔力を相手に触れる事で与え、強力な魔法を放つ手伝いができる事が分かり、時間があれば色々試そうと心に誓う。


 死体の処理を開放した街の冒険者に託し大輔達は出発するのであった。

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