第37話  分岐路の戦闘

 街の出入口で戦闘が有った以外は特に戦闘はなかった。


 斥候か何かの気配があり、街道を通る者を味方に伝える為に離れたと思われる事が何度かあった。


 そして戦闘がないまま分岐路に着いた。

 まだ誰もおらず今は平和な分岐路だった。


 周りの地形を観察し、高台に繋がる坂があったので皆で駆け上がる。


 敵が来る方向に魔法を放つのに丁度良い場所だった。

 大輔は迎え撃つまでの待ち時間にケイトと魔法について実験をする。


 ケイトのウォーターボールに大輔のファイヤーボールを合成して熱湯を放てないか?だった。


 大輔はケイトに触れながらケイトがウォーターボールを発動する時にファイヤーボールをイメージして魔力を送り込む。


 すると見た目がウォーターボールなのだが、湯気が出まくっている物が出た。しかも大輔が触れている間はケイトも詠唱をしなくても魔法を放てた。


 地面に投げると大量の湯気が出て、手をかざすと熱かった。まさに熱湯だった。

 大輔はホットと名付ける。


 ケイトは不思議な感覚に驚いていた。


 作戦はまずホットで敵を混乱させ、大輔とケイト以外が囚人が乗せられた馬車を壊し、囚人と協力して敵を倒すだった。


 行き当たりばったりな予感がするが、大輔はダイスを振る。すると88が出た。


 程なくして兵士1000名くらいと、囚人を乗せた馬車20台程が向かってきた。


 前方に800名、後方に150名、それと御者達がいると大輔が言い放った。

 誰も疑わず、不思議がらずに、初撃を放つのに適した場所に来るまで何とか先走らずに我慢して待機していた。


 そして時が熟し、魔法の展開を始め、ボール状のホットを大量に発生させ、上空から落下させた。


 間もなく熱湯が敵兵に降り注ぎ、絶叫が木霊した。また、周りは湯気で見えなくなった。追撃と言わんばかりに大輔はファイヤーボールを放ち始めた。


 時折雷に撃たれ、スキルの取得が発生したが保留出来たので保留する。前日は無視していたので保留にポイントが溜まっているようだ。

 落ち着いてからちゃんと考えようとした。間もなく800名位が戦闘不能になったのが分かる。

 相手はどこから襲われているかわからず、後衛が戸惑っていた。見えないから判断に迷っていたのだ。


 そして大輔達は丘を駆け下りて湯けむりの中を進み馬車を確保する。御者は真っ先に逃げたようだ。後衛が襲ってきたが、大輔とケイトのホットを緊急展開でぶつけ、敵兵を駆逐していく。他のメンバーは馬車から囚人を出していた。


 しかし大輔がファイヤーボールで逃げる奴の背後にも放つなどして呆気なく残りも倒し、囚人を乗せた馬車と輜重の馬車を確保した。大輔が後方に睨みを利かせている間に敵兵の死体から装備を奪い、生きている奴を捕らえていた。


 捕えたのは200名位で、大輔は奴隷化と治療をした。

 何人かを尋問したが、下っ端しか生きていないので進軍の目的が分からなかった。

 分かったのは本国に囚人を連れ帰る事だけだった。


 大輔は200名の奴隷に、ここに半日留まり、新たに来る味方を討てと。半日過ぎたら占領した街に攻め入り、味方の兵を射ち滅ぼせと。今いる者は奴隷者として味方の定義から外した。


 もしも全て討ち果たしたら自由だとした。

 そして死んだ敵兵から奪える物を奪い、取り急ぎ囚人にされた者を率いて大輔達が来た方向に向かい出すのであった。

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