第33話 初見張り
大輔はトーマスに肩を揺すられ目覚めた。
小声で起こされ交代だと告げられ、ケイトを起こす。隣で寝ているクレールを起こさないようにそっと布団を出た。
二人して眠い目を擦りながら外に行く。引き継ぎをして見張りを交代した。引き継ぎと言っても異状なしを言われただけだ。
ふとケイトが震えていたので羽織る物をアイテムボックスから出し肩に掛けた。
火を炊けないから寒いのだ。
大輔はケイトの手をが冷たかったので擦ってやる。
季節がわからないが、日本だと春か秋位の気温で、朝は冷える。日中は半袖で行けるのだが、今はそうではない。
大輔は欠伸をしていて、眠らないように頬を叩いていた。
ケイトも同じで、大輔は立ち上がり少し体を動かしていた。
残念ながら曇っていて星空は見えない。
大輔は周囲を警戒をしていた。
しかし遠くで物音がする位で特に何も無かった。
受け持ちは3時間だ。
気にしてなかったが、正確に時間が分かる。頭の中にディスプレイのような表示があり、そこに出ているのだが、目で自分の手を見て、手だと認識したり、当たり前に呼吸をする位の当り前具合だった。
辺りは真っ暗だった。
街路灯など無いから当たり前だった。
暫くは遠くで獣の吠える声や、風に揺られる木の枝がこすれる音位しかなかった。
そろそろ空が明るくなり始めた頃、雨がぽつりぽつりと降ってきた。
それと同時に大輔は嫌な感じがした。生暖かい風が吹いていたのと生臭いような、獣の匂いを感じていた。
大輔はふと眠気が冷め、代わりに冷や汗が出てきた。
急に囲まれていると認識ケイトに小声で話す。
「囲まれている。皆を静かに起こして武器を持って外に出させて。それと馬の準備だ。かなりまずいぞ」
ケイトは直ぐに動いた。大輔は冗談をたまに言うが、洒落にならない事は言わないし、ケイトもなんとなく嫌な予感がしていたからだ。
程なく皆が出て来た。服などは昨日のままだった。
大輔は頷き、テントをアイテムボックスに入れた。
すると茂みの向こうから棍棒を持った奴らが一斉に出て来た。また雨が勢いよく降ってきた。
ケイトとクレールに馬を守るようにお願いし、大輔はファイヤーボールを投げつけた。
ギランには大輔の護衛を頼んだ。慣れていないからか、魔法を放つ時は周りへの注意が不十分で、隙が大きいからだ。
大輔がファイヤーボールを放つと一斉に大輔に向かってきたのであった。
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