第31話 街に
今進んでいる方向は敵の進行ルートを逆行している為、一早く敵の気配を察知しないといけいのだが、山道を進んでおり道はカーブが多い。その為一度ならず二度三度と小さな部隊と遭遇する。この部隊が何なのかよくわからないが練度や装備の具合から本体についてこれずに置き去りにされた、もしくは先行して準備をし、本体が移動した後に後から合流するサポート部隊だったのかもわからない。何かしらの理由で招集に遅れた者達、または別の任務が終わり本隊に合流しようとしていたのかも分からないが、20人、30人の小隊と何度か遭遇した。こちらが女連れであり、少人数だというこ事で舐めて掛かって来ていたのも多いが、その全てを大輔達は倒して行っていた。不思議なと事に相手を殺しても大輔は雷に打たれなくなってきた。何となく分かってきたのは自分よりも高い能力の何かを持っていないとスキルを吸収しないらしい。例えば武力でも何か特殊なものでもいいから大輔よりも強い力を持っていないとスキルを吸収しないというのがわかってきた。兵士を倒しても何もないが、部隊長と思われる奴を倒すとスキルを入手していた。大輔はふと思う。殺す事に抵抗がないのだ。もちろん必死に逃げていてケイト達を守りたいという思いもあるが、それを差し引いても平気で人を殺しているという事実に驚きであった。確かにダリルなどは自爆したり自業自得で死んでいるとはいえ、死体を目の当たりにしても死体があるなぁぐらいにしか思わない。確かに雷に打たれた死体を見たときはグロく気持ち悪く吐いててしまったがそれだけの事である。
何度も戦闘を繰り返しようやく目的の分岐まで来れた。そして敵が来る方とは反対の街道を進み始める。敵の進軍ルートを外れたのもあり、追手や敵と遭遇するこ事もなく順調に進んでいた。そうして進んでいくと夕方近くになりようやく中規模の街に辿り着いた。
どうするかという事になり、流石に夜に攻めてくる事はないとは思うが、宿で寝ている所を攻め込まれるとひとたまりもない。その為今日は街の宿で泊まるのはやめ、野営で様子を見る事にした。大輔はアイテムボックスにお金などを入れていたが、他の者は訓練中に飛び戦いに巻き込まれたので無一文であった。
敵から奪った貨幣は今の段階では足がついたりすると困るので使わず各自が持つようにはしていた。この国と貨幣のデザインが違うのだ。街に長居はしたくないので皆で一気に買い物をすることにした。
馬を扱っている店で馬を少し休ませお金を払い飼葉を分けてもらっていた。この世界には時折アイテムボックス持ちがいるらしく、大輔がアイテムボックスに入れても特に誰も不思議がらなかった。容量制限があるがこの人数の装備や飼葉を入れるぐらいはまだ余裕があった。冒険者のご用達の道具屋でテント、毛布、鍋などを買って行く。また保存食になるような水で戻したりする穀物を買い適当な店でパンなどを買って行く。保存食はある程度敵から奪ったものがあるが、あまり口に入れようとは思わなかった。そうして1時間位で買い物等を終わらせ街道に出る。暗くなりかけていたが、危険を押してでもなるべく町から距離を置きたかった。この辺りのさじ加減はガラグとクレールに判断してもらっている。街道を進み、茂みの中に入っていきようやく野営に適した場所を見つけた。そこは岩場がくり抜かれた感じで雨が降っても風雨を凌げれるような場所だったのでテントを張る事にした。
特に馬に慣れていない大輔はくたくたであった。怪我は大輔が治療できるので困る事は無かったが、スタミナだけは回復する手段がないので休むしかなかった。火を炊くのは敵に発見されるリスクがあるため火が使えなかった。その為鍋に水を入れ保存食を水で戻していた。
鍋に向かってケイトがウォーターボールを弱く放てば鍋に水が貯まるので、嵩張る水は水筒の各自の分以外必要なく、皆がケイトにありがとうを言い、ケイトが恥ずかしそうにしているのを見て大輔はほっこりしていたのであった。
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