第30話 逃避行
街を何とか脱出して10分位馬を走らせた所で一旦茂みに入り状況を確認する事にした。するとギランが馬から落ち、虫の息だった。そう背中に矢が刺さっていたのだ。慌てて大輔が治療魔法を試み、一命を取り留めた。まだ街から近過ぎる為街から離れる事にした。ギラン以外は特にかすり傷以外怪我人もおらず、ほぼ全力で馬を走らせた為に状況整理も兼ねて馬を休ませる事にした。
結局街を脱出できたのは大輔、クレール、ケイト、ガラグ、トーマス、ギランの6名だけであった。他ののが者がどうなったかは構っている余裕がなくわからない。捕まったのか殺されたかもであるが。
5分程休憩し再び街道に戻り今を走らせる。先ほどよりは当然ながらペースを落とし走る。追っ手が気にはなったが街から逃げる者に対してどこまで追手を掛けるのかが分からないのである。
10分ほど馬を進めると前方から20人位の集団が走ってきた。クレールが一言言い放った。
「皆気をつけるのだ。あれは敵だ」
ケイトを除き皆剣闘士の猛者達である。かすり傷をもらう程度て先ずは先頭の15人をあっという間に倒していた。
ガラグとトーマスは見張りをし、残りの者で敵兵から装備や金品、食料品を奪う。割とマシなロングソードがあるのでがラグとトーマスがロングソードに切り替えた。一部の武器は予備として大輔がアイテムボックスにしまい、手持ちのお金や水、携帯食といった物等必要そうな物を奪っていく。馬は6頭程生き残り、ケイトも自分で馬を乗りこなす事ができるというのと、ガラグ達の馬がへばっていたので馬を変える事にした。死体は藪の方に捨て道を急ぐ。大輔は不思議であった。馬に乗った事がないのだが、馬を乗りこなして要るのはおそらく誰かからか奪った能力なのであろうと思う。しかも乗りこなし方はクレールを含め皆よりも上だったのである。
大輔とクレールの馬は騎士の為の軍馬であり、他の馬よりも屈強で訓練されていた。
先に進むと又もや兵の一団が現れる。やはり敵兵と分かり大輔はクレールに己の声を護衛をお願いし、魔法で攻撃して行く事にした。先程周りが驚愕するような大きさのファイヤーボールを放ったが、大輔にとってはどうということがなく、魔力がまだまだ十分にあると認識していた。自分達の周りにファイヤーウォールを展開し横からの侵入を防ぐ。そして前方で隊列を組みこちらを捉えようとしている 敵兵の一団はおおよそ200名前後に対して大輔は情け容赦なく魔法をぶつけていく。ただ、元々の火属性の能力を持っていた者の魔法はせいぜいゴルフボール大のファイヤーボールを1日に10発程飛ばす、それぐらいの力しかなかったが、大輔の力は異常な部類に入る。ケイト曰くさすがは召喚勇者なのだが、それを呟いているとクレールがケイトに問いただしていた。ケイトは丁寧にクレールに説明していた。ほどなくしてこの200名前後の敵を討ち滅ぼす。大輔は魔法の加減というのが分からないので過剰な魔力により殆どの者を消し炭にし、雑だった為数名を取り逃がす次第になってしまった。
当然奴らは来た方向に逃げる。今大輔達が向かっているのは街から伸びている街道で、分岐路を目指していた。その分岐点にさえ行けば敵国国から遠ざかる方向に行けるからである。分岐までまだ馬で1時間程かかる模様であった。
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