第13話 復讐戦
闘技場の扉が開き、大輔は駆け足で中央に進む。
そうすると反対側からいかにも騎士といった奴が入ってきた。
フルプレートメイルに完全に顔の隠れるヘルム、武器はランス。ここまでは想定された装備だ。そして想定外なのは馬に乗っている事だ。馬は軍馬で、馬も甲冑を着ていた。
大輔は焦った。馬に乗った者への対処が分からないからだ。
オロオロしていたが、いつの間にか開始になっており、相手がランスを繰り出してきた。開始の合図を聞きそびれたのだ。
「うお!挨拶位しろよな。兄弟揃って礼儀がないな。弟の恥知らずな行動は兄貴ゆずりなんだろうな」
ついついぼやくが聞こえていたようだ。そして落としたダイスは62で中ラッキーだ。
「ふざけるな。お前なんかにダリルがダリルが殺されたなんて!殺してやる!」
ランスを何度も突いてくるが大輔は何とか躱す。時には盾で受け流し、相手の疲弊を待つ。場上からの攻撃に防御するのが精一杯で、反撃の仕方を模索していた。
騎士のランスの使い方が急に変わった。避けきれず肩をかする。
次の鋭い突きは偶々何かを踏んで滑って尻もちを付いたら胸があった所を空を切っていた。
手に滑った元が握られた。鞭だった。以前の闘いで落とされた武器が埋っていたようだ。
大輔は鞭を掴み構える。
馬を狙っても甲冑でダメージは通らない。
攻撃を避けながら考えた。
馬の脚を狙ってみるのはどうか?鞭を絡めて引張りバランスを崩すのはどうかと。
これだと確信し鞭を振るう。
右前脚に絡まり、一気に駆け、鞭がピーンとなるタイミングでジャンプし、無理やり脚を引っ張る。
すると馬は嘶き横に倒れる。折れてはいないが、脚を痛めただろうと思われる。
そして騎士の脚は馬の下敷きになり挟まれていた。脱出しようと藻掻き出したがランスは落としていた。
大輔は痛む体を必死に動かし、取り出したメイスを振るう。ヘルムに当たり、ヘルムが飛んでいき素顔が見えた。
30代になるうという感じの顔だ。頭から血を流し、口からは血が滲んでいる。
剣を首筋に当て
「降参しろ。最早お前に勝ち目はない」
そして相手が降参した。
司会から大輔の勝利宣言が出て大輔は勝利した。勝利宣言後にようやく馬が立ち上がった。
大輔は出入り口に向かう為騎士に背を向けた。次の瞬間大輔は胸に痛みを覚え、観客から悲鳴と怒声とブーイングが響き渡る。
大輔の胸に剣が生えたのだ。
正確には騎士がサブウェポンとして腰に下げていた突き特化のエストックを突いてきて、鎖の隙間を縫うように体を突き抜けたのだ。鎖帷子は剣での切りつけには極めて有効だが、エストックには相性が悪い。
そしてエストックを離し、大輔に蹴りを入れる。
大輔は仰向けに倒れた。そして騎士は魔法を展開していた
「騎士たるダグラスが求む、敵を撃つ力を与え給え!ファイヤーボール」
頭上に直径20cm位の火の玉が出現した
「弟の敵は討ったぞ。念の為にトドメだ。喰らいやがれ!がハハハ!」
そして騎士の高笑いか、頭のすぐ横に現れたファイヤーボールに驚いた馬が後ろ足で騎士を蹴ったのだ。騎士は手を振り下ろしかけていたが、吹き飛び大輔の方に飛ばされた。大輔に覆い被さる形になり頭が胸元に来ていて、後頭部からはエストックの剣先が見えた。
騎士はびくんびくんと痙攣し、地を吹き出しながらやがて動かなくなった。そして雷が大輔を撃つ。
時間が止まり前回と同じだ。
「スキルを咀嚼し再構築できます。火魔法を得ましたが戦闘スキルが既にある為戦闘スキルを強化した残りで新たなスキルを得られます。何にしますか?」
スキルを確認していた。迷わず奴隷関係のスキルを得た。奴隷商が持つ奴隷マスターの上位版だ。どうやらこの騎士は奴隷商でも有ったようで、奴隷契約は出来るが、開放までは出来ないのだが、上位は全ての奴隷契約の変更や開放ができる。ただ、封印中だ。10戦して奴隷から開放され、首輪が外れないと使えない。そして時間は動き出す。
大輔は痛みで呻いていたが、司会が叫んでいた
「またもやダイスは勝利後に襲われた〜。そしてダグラスは愛馬に蹴られる!情けないぞ!さあダイスから離れなさい。ってこれは死んだか?」
兵士がダグラスを引き離すが手をクロスした。
馬は大輔に寄ってきて頬を舐める。しかし大輔は意識を失うのであった。
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