第66話:説明

 衝撃的な内容に、その場の全員がレイドへと視線が集まる。

 何か言いたそうな表情をしている。


「魔王様。本当、なのですか? それにバルザーク様や他の四天王方も知っていて?」

「そ、それは――」


 一人の幹部のその言葉に、フランが説明しようとしたが、それはレイドによって遮られた。


「――事実だ」

「なに?」


 レイドは静かに仮面を取り外し素顔を晒す。


「これで満足か?」

「満足? 今まで騙していたと?」


 男の言葉にレイドは肯定した。


「そうなるな」

「ふざけるな!!」


 剣を抜きレイドへと斬りかかった。が、それはレイド手前で止まった。

 いや、止められたと言った方が正しいだろう。指と指の間に挟まれて。


「――くっ!」

「安心しろ。俺は魔族の敵ではない」

「信じられるか! 何人の同胞がお前に殺されたと思っている!」


 尤もであった。

 味方と思っていた人物が、実は人間の元勇者であったとは知らなかったからである。

 その元勇者に魔族は何百人、何千と言う者を亡くしたのである。


 怒りが湧いて当然であった。


 だがこれをチャンスと思ったのか、エリスがレイドへと告げた。


「これであなたもお終いよ! また逃げられると思っていたら、天罰が下りますよ! 生きて逃げたいなら私達を連れて――ヒッ」


 エリスは言葉の途中で悲鳴を上げた。

 それはレイドから殺気を向けられたからであった。

 怯えるエリスへとレイドは告げた。


「貴様は生きていられるとでも思っているのか?」

「と、当然じゃ――」

「無理だ」

「な、何でよ! 元とはいえ仲間でしょ!?」

「仲間? エリス、お前は何を言っているんだ。お前等は仲間であるはずの俺を売っただろう? 俺が知らないとでも思っていたのか? 忘れたとでも? 仲間に裏切られてから俺は復讐を望んでいたんだ。まあ、俺が殺しても魔族に殺されても、結局待つのは同じ『死』だ。そこに違いはあるまい」


 まさに絶句と言いたげな感じであった。


「れ、レイド! た、確かに俺達が悪かった。だがそれには訳があって――」

「黙れ」

「だがよ――」

「黙れと言ったのが聞こえなかったのか?」

「――ッ!?」


 レイドはもうこいつらの事を仲間とは思っていない。


「さて、それよりも……」


 勇者達を無視して幹部達を見渡した。

 どうやらレイドの素性が分かった途端、敵視しているようであった。


 だがレイドはもう敵対するつもりはないし、殺すつもりもない。

 むしろ協力したいくらいなのだ。


「それでは話すとしようか」


 こうしてレイドは幹部達へと話すのであった。




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