第60話:追い駆けっこ?
その後、レイドは上空にいるアルミラースへと合図を送り、再び上空で滞空し戦場を眺める。
眺めているとアルミラースがレイドへと。
『随分と派手にやったな?』
「奴には借りがあったから返してきただけだ」
事情を知っているアルミラースは何も言わなかった。
「レイドお兄さん、これからどうするの?」
眺めているところにミレーティアが服の裾を掴み尋ねてきた。
ミレーティアに答えようとしたところで拮抗状態の戦況に変化があらわれた。
連合軍が押されているのである。
これはレイドが作戦司令部があった本陣を殲滅したせいで、指揮系統に混乱が生じたのである。
そこでレイドは運ばれていった勇者達一行を目視で捉え次の行動を考えた。
「そうだな。勇者達を捕まえようか」
「追い駆けっこ?」
「まあ、簡単にいえばそういうことだ」
ミレーティアを見ると目をキラキラと輝かせてこちらを見ていた。
「アルミラースに聞いてくれ。許可が出れば一緒に行こうか」
「わかった。ってことでパパっ! 追い駆けっこしてきていい?」
追い駆けっこ。先の話を聞く限りでは勇者達以外は殺すと察したアルミラース。
『ダメに決まって――』
「パパ大嫌いになっちゃうよ?」
『――良いに決まっている』
娘には甘々なパパドラゴンなアルミラース。
「ミレーティア分かっているな? これは遊びではない。殺し合いだ」
レイドはそう言うのだが、ミレーティアは真剣な表情で頷いた。
「分かってるもん。あの人間さんを殺っちゃえば良いんだよね?」
そんな物騒な発言をするミレーティアちゃん。
元々がドラゴンだからなのか戦闘となると顔つきが変わるミレーティア。
これは暗黒山脈にいたときからそうであった。
遊ぼうと言っても暗黒山脈で魔物狩りである。
こんな幼い子が魔物の返り血で染まって微笑む光景にはレイドとリリスは「これは……」と何とも言えない表情をしていたのである。
「勇者とその仲間以外は、な」
「わかった!」
そう言ってすぐに飛び降りたミレーティア。
レイドも飛び降りようとしてアルミラースへと……
「お前の娘、よく平然としているな?」
『ドラゴンとはそういうものだ。戦いとなると闘争心が出てしまうものだ。まったく誰に似たんだかな』
「お前だろ?」
『何を言っているレイド。ああ見えても我妻のウォースパイトだって戦闘になると人間だろうと容赦せずに殺しているのだぞ?』
「マジか……」
『だから人を殺すことには何の抵抗もない。それが我らドラゴンだ』
「そういうものなのか」
『うむ。では我はこのまま空にいよう』
「頼む」
そうしてレイドも飛び下り、ミレーティアが降下したところへ向かうのであった。
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