第48話:開戦Ⅱ
ラフィネ達はバルザークへと武器を向け警戒する。
「ラフィネ、どうする?」
トロワが尋ねる。
「私が先に仕掛けるからその後をトロワが。それでエリスが魔法で私とトロワを強化。ダイリが魔法で援護をして」
ラフィネの言葉に他の三人がコクリと頷いた。
「――開始!」
ラフィネの言葉に合わせてエリスが魔法で二人を強化する。そして強化を受けたラフィネとトロワがバルザークへと駆け出し仕掛けに行った。
二人の間を縫うようにしてトロワが魔法を放った。
「――
複数の炎の矢がバルザーク目掛けて飛来する。
「小癪な!」
大剣を一振りし魔法を消し去る。
その隙を突いて、ラフィネが低姿勢で駆け吶喊した。
懐へと潜り込んだラフィネは聖剣を下から上へと振るったが、その攻撃は大剣の柄で防がれてしまう。
隙だらけのラフィネの腹へと蹴りを放とうとするが、バルザークの背後に大剣を振りかぶるトロワの姿を目視した。
「甘いっ!」
そう言ってバルザークは大剣を瞬時に手放し、迫る大剣を屈んで躱しトロワへと回し蹴りを放った。
「あがっ!?」
身受けも取れず吹き飛ぶトロワだが、ラフィネは武器を手放し死に体となったバルザークに再度聖剣を振るった。
完全に直撃コースとなる攻撃にバルザークは魔剣の名前を呼んだ。
「――プロクス!」
瞬間ラフィネの前に炎の壁が立ちはだかった。
しかも異常な程の熱量の壁を前に、急ブレーキをかけて後方へと跳躍する。
バルザークが魔剣を掴むと炎が消え去った。
「まあまあの連携だった。だがここからの俺は一味違う」
バルザークの持つ魔剣プロクスが真っ赤に燃え盛る。
それと同時にバルザークから発せられるプレッシャーが大きくなった。
「次はこちらの番だ」
バルザークが魔剣を横に一振りした次の瞬間、炎の斬撃がラフィネ達へと迫った。
「――
エリスが咄嗟に防御の魔法を展開させ――衝撃が襲う。
ビキバキと嫌な音を立てるも障壁は炎の斬撃を防ぐことが出来たが、ラフィネ達はバルザークの姿を見失ってしまった。
「どこ――ッ! 上っ!!」
ラフィネがいち早く反応し障壁内から頭上を見上げると、跳躍し大剣を振りかぶりながら降下するバルザークを捉えた。
バルザークが手に持つ大剣には先ほど以上に魔力が込められている。
「ダイリ、障壁の強化を! 急いで!」
「任せろ! ――多重障壁」
エリスが張った障壁の内側にさらに三枚の障壁が展開され――直撃した。
障壁と大剣がぶつかりエリスが張った障壁は一瞬で砕け散り、ダイリが張った障壁へと直撃する。
「そう簡単には割れませんよ!」
ダイリの言葉にバルザークは笑みを浮かべながら口を開いた。
「本当にそう思うか?」
「なに?」
次の瞬間、一枚目の障壁にヒビが入り砕け散り、二枚目へとぶつかった。
「ですが後二枚、流石に破れられまい!」
「ならその自慢の障壁を今からぶち壊してやる。――燃やせプロクス!」
大剣から炎が噴き上がり、その炎は障壁全体を包み込んだ。
そしてピキッと嫌な音が徐々に大きくなっていき――破られた。
「で、ですがまだ一枚あります!」
バルザークがさらに魔剣へと魔力を流すと、炎の勢いが増し最後の障壁にとうとう亀裂が生じた。
「なっ!?」
「エリス!」
「分かってます!」
障壁が破られたのと同時にエリスの障壁が展開された。だが――それも一瞬であった。
エリスの張った障壁が破壊され爆炎で後方へと吹き飛ばされてしまった。
無様に地面を転がる勇者達にバルザークはゆっくりと歩み寄った。
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