第47話:開戦Ⅰ
魔物が突如現れたことは後方へとすぐに伝わった。
それは当然ラフィネ達勇者の耳にも届いていた。
「ここにきて魔物?」
不審に思い今作戦の最高指揮官であるデルマ・フリーデンの下へと向かい尋ねた。
「フリーデン殿」
「む? 勇者殿か」
「もしかしてこの魔物達は……」
「うむ。恐らく、いや十中八九この魔物は魔族によるものだろう」
最前線を見てそう答えたフリーデン。
トロワは最前線が心配になりフリーデンへと聞いた。
「俺達が行った方が良くないか?」
「トロワさんの言う通りここは私達が」
エリスも同意し頷く。
だがフリーデンは首を横に振ってそれを否定した。
「ダメだ」
「どうしてだ!」
思わずダイリが声を大きくして尋ね返す。
フリーデンは冷静に答えた。
「今勇者達が出て行っては四天王を誰が止めるのだ? ここは信じて待つしかない」
「ですが……!!」
「勇者殿、どうか冷静に。あなたが冷静さを失っては元も子もないのですよ」
「――ッ! わかり、ました……」
確かにその通りであるがために、ラフィネ達は引き下がり見方を信じて待つことにした。
しばらくして魔物の数が減り態勢を整えて再び進軍を開始した。
そこから無事に森を抜け人間軍を待ち構えていたのは……
「まさかこんなにも早く魔族が大勢を整えていたとは……」
フリーデンは魔族の迅速な対応に驚愕していた。
森を抜けた先で待っていたのは魔族の軍であった。
その戦闘には大柄な体躯に大剣を背負いこちらを見つめる魔族の姿。
「あの魔族、強いわ……」
「ああ、気を引き締めないとな」
「その様だ」
「四天王、ですか」
そう。待ちかまえていたのは四天王が一人、バルザークであった。
見えた人間軍を前にバルザークは笑みを浮かべながら口を開いた。
「さーて、先に死にてぇのはどいつだ?」
バルザークから発せられるプレッシャーに体を強張らせる人間軍。
その中から四名がゆっくりと前出てきた。
「ほう。俺のプレッシャーを受けておいてその程度とはな。それにその剣、貴様が勇者だな?」
バルザークの問いにラフィネが答えた。
「そうよ。私が勇者」
「そうか、なら死んどけ!」
そう言ってバルザークは大剣を振り下ろした。
振り下ろされた大剣は地面へと突き刺さりそのままラフィネの方へと地面から炎を上げて突き進む。
「させない!」
ラフィネが聖剣に力を込めると結界が発動した。
そのまま直撃し大きな音を立てて砂煙を上げた。少しして砂塵が晴れると、そこには無傷のラフィネ達が立っていた。
「流石だ勇者。この程度の攻撃で死んでもらわれたら困る」
こうしてバルザークの攻撃が戦闘の合図となるのであった。
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