第40話:アルミラースの妻現る!
アルミラースに案内されたレイドとリリスの二名は城の中へと入った。
中は圧巻の一言で兎に角巨大であった。
「アルミラースに質問がある」
そう言ったのはリリスであった。
「なんだ?」
「この城はどうやって建てた?」
それはレイドも気になっていたことで「気になるな」と尋ねる。
答えてくれないとも思っていたが、アルミラースは普通に答えてくれた。
「これは遥か昔に人間が我らのためにと建てた物だ。確か勇者と名乗っていたな」
「勇者?」
聞き覚えのある単語にそう聞き返した。
「そうだ。確か1200年だったか。勇者が魔法で造ったのだ。当時の私はそういった魔法が苦手でな。そのあとは割れが保存の魔法を掛けているのだ」
「なるほどな」
しばらく城のことを聞いているとアルミラースは扉の前で立ち止まった。
「ここだ。我妻を紹介しよう」
アルミラースが扉を開けた瞬間レイドとリリスの真横を何かが通り過ぎ、背後の壁にドゴォォンという音を響かせた。
背後を振り向き確認すると、壁にめり込んだアルミラースの姿があった。
そして前を向き直すと、そこには一匹の白亜の龍が佇んで壁にめり込んだアルミラースを睨みつけていた。
「外が騒がしいと思ったらそんなにボロボロで何をほっつき歩いているのですか!」
「す、すまん……」
壁から這い出ていたアルミラースは何事もなかったかのように平然としていた。
そして背後にいるレイドとアルミラースに視線を向けた。
「あら、アルミラース。そちらの方々は?」
「紹介しよう。こっちがレイドでそっちの魔族の娘がリリスだ。我の鱗を取りにきたらしいが、レイドとの戦いで引き分けてな。我がレイドとリリスを友として認めたの。だからそのまま泊まっていけと言ったのだ。よかろう?」
「ええ、歓迎するわ。自己紹介がまだだったわね。私はウォースパイト。白龍ウォースパイトよ。よろしくレイドにリリス」
「ああ、よろしくウォースパイト」
「ん、よろしく」
「そうだ。このままの姿だと話しずらいわね。少し待ってちょうだい」
そう言ってウォースパイトは光り輝きみるみるうちに小さくなっていく。
光が霧散しそこから現れたのは、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいるスラッとした肢体に美しい銀色の長髪を靡かせ、真紅のような紅い瞳をした美女であった。
見た目はまだ二十代前半の美しさであった。
ウォースパイトの美しさに見惚れそうになも、そこにアルミラースが口を挟んできた。
「我妻に見惚れたか? だが渡さないぞ?」
「何を言っている。俺にも嫁はいる」
「そうなのか?」
アルミラースはリリスの方を見る。
「リリスではない。リリスは付き添いで、嫁は魔王だ」
「魔王?」
「ああ。お前が前に追い返したはずの魔族の女だ」
「前に……」
レイドの言葉で思い返すような素振りをするアルミラースは、しばらくの思考の後に思い出したようだ。
「確かに来た。魔力の多い魔族だった。そうかあの魔族の娘か」
ウォースパイトが会話に割り込んできた。
「さてお喋りはそのくらいにして夕飯にしましょう。丁度娘が来る頃だから」
「「娘……?」」
疑問の言葉を口に出すのと同時に部屋の扉が開かれた。
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