無能とは何か
近頃の流行なのか無能という言葉を使った作品を多く見る。ランキングにもよく載る事から需要があるのだろう。ここで一度無能とは何かを考え、その上で私がそれらの作品から感じた違和感について書いていこうと思う。
無能とは何か
字で判断するなら能力がない事
つまりは異世界やゲームの世界において特殊技能や魔法などを持たない存在のこととなる。もちろん小説内での無能とは定義が違う。ではどのような相手を無能と蔑むのか。それは自分から見て、もしくは圧倒的多数の周囲から見てその相手が役に立たない存在である時だ。
役に立たないというのはどういう事か。
何か目的や目標を定めて活動する中でそれに対して寄与しない行動または存在のことだ。
ここから考えると無能というのは、目的や目標に向かって活動をする集団あるいは組織の中で、目的や目標の進捗に寄与しない存在であること と考える事ができる。
さて、無能という言葉、そしてそれを当てはめられるような人物像についてまとめてみた。ここで小説の話に戻ろう。先にも挙げた通り無能という言葉を使った作品が多く見られる。それらを眺めた際に持った違和感を書いていく。
該当人物の持つ能力が無能とは思えない
〜という能力を持っていたが無能と虐げられていた。
などと書かれる作品がいくつかあるが、この能力が読者からすると果たして使えない能力なのか?と疑問を持つ事がある。それが戦闘に直結しないような能力である事が多いが、先に書いた無能の定義からすると、戦闘に役に立たなくても戦闘自体が目的でないならば無能と呼ぶには不足すると言える。であればなぜ無能と呼ばれるのかということの説明が必要になるだろう。客観的に見れば無能ではない能力だが、その作品内では無能と呼ばれる条件を作らなければならない。
例えば、その世界では魔力が何よりも尊い存在とされている為、魔力を持たないものは無能と呼ばれている とか
剣をうまく扱うことが良いとされる戦闘ギルドに便利屋のような能力しか持たないポーターが付いていた とかである。
前にも書いたが、インパクトの強い言葉や流行りの構成を使う時にはそれだけで作品が出来たとするのではなく、その言葉が成り立つ世界を補強しなければならない。今回で言えば主人公を無能と呼ばせたいのであれば、本当の無能にするか、世界または環境から無能と呼ばせるかの二択になる。
蔑まれているものが一発逆転最強に、と言った内容は高揚感を感じさせるし、英雄譚としても盛り上がる部分ができる為読者がつきやすい。
しかし無闇矢鱈にインパクト強い言葉を使い、読者には疑問を持たれる形で主人公を貶めるような書き方をした時、読者はそれに共感出来ずに付いてきてくれなくなると言ったことが起こるということが言えるだろう。
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