第4話 「ハゲとモヒカンとロンゲ、そしてパーマも少し」

「おめでとさん!」


右手のカウントは(3/3)となっている。

初めてのカウント以降、ハゲのおっちゃんの力を借りて何とか達成することができた。


「まあこんなもんやで。ぼちぼち頑張りいや。」


「ありがとうございます。色々と教えていただいて。」


「ええんや。ええんや。で、兄ちゃん、話変わるけど、今日はミーティングちゅうのが行われるんや。この地域辺りにいる人で情報交換や。ここはわからんことが多いやろ。左手の時計が1周する時にだいたい行われてるんや。まあ参加は自由やけどな。」


「ぜひ参加します。」

初めてのカウントで疑問であったお手伝いをする”運命”については、おっちゃんにも正確にはわからないらしく、カウントが増えるまでテキトーにやればええんやと教えられた。そんなにテキトーにしていたら、された側はどのような気持ちになるのであろうかと思うが、それも気にするなとおっちゃんに言われた。


夜になり、ミーティングが行われる公園に行くとそこには久しぶりに見る”モヒ”と”ロング”がいた。

他にも10人くらいはいるだろうか。


「おっ!ネグセ!!!すぐ消えると思ったけど、達成したみたいやな。」


「ひどいですよ、いきなり放置するなんて。」


「私も放置されましたよ。ルール説明でカウントは増えますが、他の人を手伝ってカウントが増える訳ではないですからね。」

2人の右手のカウントは(15/10)となっている。


「お疲れさまです。みなさん!」

おしゃれなパーマの人のその一言でミーティングが開始された。


「今回は変わったことはありませんでしたか?」


「ここに一応集まるんだが、誰も話したりはしねえよ。」と

”モヒ”がこっそり教えてくれた。


「みなさんに今回お手伝いして欲しいことがあります。近頃こちらの世界に来て、何もせずに消える人が増加しています。それを防ぎたい。」


「消えるのは勝手だろ!むしろ消えてくれたほうが俺たちのカウントも増やしやすいだろうが。」


周りにいた人がパーマに向かって言っている。


「ルール説明でカウントが増えるのであれば、他の方法もあると思っています。それを見つけることができたら、私たちのメリットにつながります。」


呆れたように周りにいる人は公園を去っていった。ハゲのおっちゃんも私のほうを見て手を振り、その場を去っていった。


「まったく毎度思うのですが、このミーティングは意味があるんですかね。」

ロングがつぶやいている。モヒはパーマに近づき、


「おい!パーマ野郎!手伝ってるやるよ。ただし俺たちが何か見つけても詳しいことは教えねえ。見つけたことだけは教えてやる。」


「ありがとうございます。いつもすみません。」


「てめぇには一応貸しもあるしな。」


「いくつも提案して申し訳ないのですが、そこにいる新人くんも連れっていってあげてください。かなり疲労しているように見えますし、あなた方とは関係がありそうと思ったので。」


「はいはい、仕方ねえな。今回は余裕があるから特別だ。」


公園にある時計は0時を、

左手の時計も同じ箇所を示しており、右手のカウントは(0/3)に戻っている。


2人のカウントは(5/10)になっている。

なるほど。持ち越しは可能なのかと2人のカウントを見て理解した。

先程のモヒの”余裕がある”とはこのことであろう。

今の自分にはそこまですることは不可能だ。


「行くぞ!ネグセ!!!」

誰かといると安心する。こちらの世界に来て本当に感じる。

”パーマさんありがとう”と心の中でつぶやき、2人についていった。

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