第103話 魔力の適性検査
「忙しい所申し訳ありません。ここで、魔闘士の適正確認をできると
「はい、できます。……そして私は彼氏募集中ですぅ……」
セスは単刀直入に受付嬢に要件を伝えたのだが、当の受付嬢は目の前のイケメンに見入ってしまい、仕事中である事を完全に忘れている様子である。
アラタはこの時初めて、恋に落ちた人の目を見た。彼女の目に映っているのはセスの姿だけなのだろう。
彼の周囲にいる自分達は全く目に入っていない様子であり、彼女の周りはピンク色の何かで埋め尽くされているように感じたのだ。
結局、暫くの間受付嬢はセスにアピールをし続けて話が一向に進まなかった。
その後彼女の上司である男性の職員が状況を見かねてやって来て、代わりに対応してくれたおかげでようやく本題に入ることが出来たのである。
「大変申し訳ございませんでした。適性確認の件でしたね。それでは専用の魔道具を用意してまいりますので少々お待ちください」
数分後アラタ達の前に、水晶玉のような球体の魔道具が置かれていた。
「このスフィアに手をかざし、魔力を込めてみてください。すると、魔力のパターンを解析して、どのような属性や戦闘スタイルが適しているのかが表示されます」
慣れている様子で男性職員が説明を行う。セレーネは、少し戸惑いながらも指示に従い右手を近づけて魔力を高め始めた。
すると、透明の球体が輝きその中に文字が浮かび上がる。
『属性:闇 適正タイプ:魔術師 魔力値:SS』
それを見たセスは、小さいガッツポーズをしていた。相当喜んでいるようだ。
それもそのはず、セレーネの適正タイプはセスの希望していた魔術師タイプであり、属性も珍しい闇系統のものであった。
現在魔王軍の他のメンバーに闇属性の者はいなかったので、属性タイプが被ることもなかったのである。
「魔術師タイプ……それじゃあ、私はセスちゃんと同じ後方支援担当になるのかしら?」
「ええ、そういう事になりますね。最も、闇属性でしたら極めれば様々な状況に対応できる柔軟性とかなりの高火力が期待できますよ。闇属性の魔術書を持っているので、後で渡しますね」
「ありがとう、助かるわセスちゃん」
セレーネは自分の適正な戦闘スタイルが判明してホッとした様子だ。だが、ここでスフィアのある項目が気になるアラタであった。
「あのさ、この魔力値SSってどういう意味なの? まさか……」
「それですか? それは魔力の強さを表しています。魔力値は一番低いのがCでB、A、S、SS、SSSの順で強くなっていきます。強さのちょっとしたランク付けみたいなものですよ」
「そっかぁ、そんな魔力の基準があったなんて知らなかったよ」
セスの返答に対し、そのように言ったアラタは嬉しそうだった。
ゲームさながら、個人の戦闘力をレアリティのように表現されるのはとても面白そうであったからである。
そして、この基準で考えるとセレーネはかなりの強さと考えられる。こうなると気になって来るのは魔王軍の他の者達の魔力値なのだが……。
「以前、測定した時は皆一律にSでした。ですのでセレーネは私達よりも頭一つ抜きん出ている状況ですね」
今度はアンジェが魔王軍の魔力値を報告する。彼らの強さはよく分かっているつもりだが、それでランクがSともなると気になるのは最高位のSSSだ。
アラタが口を開こうとすると、ギルド協会の男性職員が驚きの声を上げていた。
「なっ、魔力値SS!? 信じられない! 一流の傭兵ギルドに1人いるかいないかの逸材ですよ!? それに他の人も魔力値Sって本当ですか? だとしたら、間違いなく現存する傭兵ギルドの中でもトップクラスの戦力になりますよ」
彼は物凄く興奮していた、目もギラギラしていて、まるで公園の砂場から宝石でも見つけたかのような食いつきであった。
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