頭はいるの?(2)
ファトラが操っているような作業用義体、あるいは人間の生活サポートをプログラムされた人型ロボットには頭部がありますし顔の造形がついています。イメージの問題で、そのほうがサポートされる側の人が安心するからです。そんなロボットも多く働いています。
「全高22mで戦闘も可能な構造を有する予定なんですよね?」
「なのなの」
すぐに肯定されます。
「頭は必要なんでしょうか?」
「いるの」
「どうしてです?」
さも不可解なことを言っているように見つめられました。
「なぜいらないと思うの?」
「いやいや、軍の使っている汎用機動兵器だって頭はついていないでしょう」
ナルジ軍も戦闘用人型ロボットは使用しています。全高は10~20mの大きさですし、人とは比較にならないパワーを持っています。元は宇宙開発用に生み出された機械ですので。
「これはギナが他の人を見下ろすためのロボットなの。頭がついてないと意味ないの」
「なるほど。物理的に見下ろしたいから無駄なものでもつけるんですね」
そう言うと彼女の口元が面白くなさげな様子になります。
「怖くないとダメなの」
「ああ、威圧感ですか。一応は戦闘用ですもんね」
「それに頭からの情報がないと操縦しにくいの」
僕には理解できない意見です。
「ギナ、操縦は
「もちろんなの」
現代の人間はほとんどが身に着けています。様々な機器の操作や、ときに個人認証にも用いられ、ぼくらの社会に完全に溶け込んでいるウェアラブル機器です。
「人型ロボットみたいに複雑な操作を必要とする機械では
「ギナにも無理無理なの」
これには賛同を得られました。
「では、外部の情報取り込みも
「レリは勘違いしてるの。ちょっとだけでも処理には時間がいるの」
『レリ様がおっしゃっているのは、本体各部が捉えたカメラ映像を用いれば良いという意見ではないかと思われます。それにも数十ナノ秒の処理時間を要するのです』
ファトラが不見識なぼくに説明をしてくれます。
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