第3章 2人目の彼氏

11月になり、私は自分でも思っていなかった人物に告白された。

とある日の夜中2時、スマホが鳴り明日も早いのになんて考えてたら軽音サークルの同期である坂本さかもとからだった。


「もしもし?どうしたの、私明日1限から授業だから早く寝たいんだけど…」

「あ!つっちー!?俺ね~お前のことめっちゃすっきゃねん!!」

「…は?いつもとテンション違くない?ね、もしかしてお酒飲んだ?」

「つっちー!めっちゃすっきゃねん!」


話しにならない…、そもそもなんで未成年なのにお酒飲んでるのさ…人のこと言えないけど。

電話越しでため息をついたら坂本とは違い、落ち着いた声でもしもし?と聞こえた。


「あれ?優輔ゆうすけさん、なんで?」

「いや、ほんとごめんね。俺のせいだわ」


少し笑いながら事の経緯を教えてくれた。

軽音サークル男飲みと称して2年の優輔さんの家で坂本ともう一人の同期永井ながい、3年の水島みずしまさんと4人で集まったらしい。

未成年2人はジュースとおかしで盛り上がっていたらしいが、麦茶と間違えてニッカを一気に飲み干しべろべろに酔っぱらって今の状態らしい。

てかおい永井、お前の笑い声丸聞こえだからな、先輩に迷惑かける前に防いでよ。


「優輔さん、同期がすいません…。テキトーに外にでも投げ捨てといていいので…」

「つっちー塩対応じゃん。で、坂本と付き合うの?」

「絶対記憶ないですよね、本人記憶ないのに付き合いたくないですよ。覚えてたら返事はその時にしますけど」


だってーやったじゃん坂本!と電話越しで盛り上がっていたけど果てしなく眠いから電話を切った。ま、寝落ちして充電切れましたとか言っとけばいいか。


案の定、次の日は記憶がなく普通に接してきてムカついたから距離を置いた。

坂本は人伝えで自分のやらかしを知ったようで謝ってきた。

好きなのは本心だからともう一度チャンスがほしい、付き合ってくれと言われて正直恋愛感情はなかったけど、付き合ってみることにした。

この時忘れてたんだ、とりあえず付き合ってみるかで失敗した元彼のことを…


坂本は今までで出会った男の中でも最悪だった。

お金はないくせにアルバイトをしない、その上サークルでかかるお金をすべて私に借金した。私は倍かかるお金を稼ぐために夜中まで働いた。

いつの間にか借金は15万弱までいき、さすがに堪忍袋の緒が切れて怒った。

そしてようやく坂本はアルバイトをし始め私へ少しずつ返済を始めた。


坂本との付き合いも元カレの北斗とあまり変わらなかった。

ただ違ったのは性欲おばけだったこと。

初めては坂本だった。痛いなんてよく聞くけどすっごく痛かった、てか毎回痛かったし3時間は放してくれなかった。


あ、異常なまでの独占欲も蓮とは違った。

普通のUネックのTシャツを着てるだけなのに胸元が丸見えだのミニスカートはパンツが見えそうだから着るなと自分が当時持ってた服はすべて着られなくなった。

私はギャル系のメイクや服をやめていわゆる森ガールファッションをし、ナチュラルメイクになった。

男の子の連絡先は全部消された、学部の子のどうすんのさ…


正直ここまでされて好きになることはなかった、寧ろ嫌いになった。

別れを告げようとすると死ぬとか言って包丁持ってくるし、真面目に怖い。

喧嘩は毎回私にしか非がないような言い方をされてもう感情が無になっていった。

誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントも同じ金額じゃないと割に合わないと言われ、向こうの欲しいものと少し安めのプレゼントを貰っていた。

デートも人混みや長時間のお出かけが苦手ですぐ不機嫌になったから基本向こうの行きたい場所。

こんな時間無駄…

そしてグダグダと3年生まで付き合ってしまっていた。


そんなときに同じ学部の颯太そうたと偶然授業のほとんどが同じで仲良くなった。

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