第2章 初めての彼氏
そのコンパで私は無理やり先輩たちにお酒を飲まされて酔って寝てしまった。
酔いがさめたときには家の最寄り駅に蓮といた。心配だからと送ってくれようとしてくれていたが、一人で帰れると押し切ってその日は岐路についた。
その日の記憶はそれだけ。
彼とは気まずくなった。
一方的に避けた、何となく気がついてしまった。蓮からの好意に。
好きではない人からの好意がこれほど気持ちが悪いものだと知った。
同時に私の性格の悪さに嫌気がさした。
そんなある日、軽音サークルの友達の
しかしそこにいたのは紛れもない蓮と真理子の彼氏の
意味がわからなすぎてボケっとしてしまい、言われるままご飯を食べた。
その後はすぐ帰ろうって思ってたけど、真理子と優さんに押し切られ真理子の家に4人で行き、麦茶と言って出された飲み物がお酒だと気づかず一気に飲んでしまいまたあの日のように酔ってしまった。
「うぅ…真理子の嘘つき。これお酒じゃんかぁ…」
「えへ、ごめんね〜」
うっかり〜なんて言ってるけど嘘つきと思いながら頭はふわふわして上手く考えられない。
「陽菜ちゃん」
「んー?何〜」
そういえば蓮も居たなぁなんて思っていたら手を握ってきた。
え、なに?
「俺、ずっと陽菜ちゃんのこと好きだったんだ!英語で同じクラスになって陽菜ちゃんに一目惚れして…
あのコンパで初めてゆっくり話して本当に惹かれたんだ。付き合って欲しい!」
あーね、べろべろに酔わせて帰れない状況にすれば頷からずを得ないと思ったのね…
はめられたわって思ったけど、きっと付き合って好きになる恋愛もあるよねと考え、付き合うことにした。
蓮は私が言わないと何もできない人だった。
授業にも連絡しないと遅刻し、アルバイトも言ってようやく始めた。
私が1か月弱海外に行くだけで涙を流して寂しいといった。
私がやってほしいと言えばやってくれる、なんだか愛されているを思った。
でも、それが愛ではなく同情だと知ったのはもっと真理子と仲良くなってWデートをした時だった。
近くの大きな夏祭りに行こうということになり、そこでやっと私たちと真理子たちカップルが違うことを知った。
「真理子ちゃん、好きなクレープあるよ。どれがいい?2個買って分け合って食べよう」
「ありがとう、優さん。私いちごチョコカスタードがいいな~。優さんは?」
「うーん、全部好きで選べないなぁ。真理子ちゃんもう一つ選んでくれない?」
あぁ、見たことあるこの感じ、私の好きなアニメにあった。
こんな王子様とお姫様のような関係。
「陽菜~、これ買って!」
「陽菜!こぼしちゃった、どうしよう!!」
「陽菜~俺疲れちゃったよ~帰ろうよ~」
あれ、これってお母さんが子供の面倒見てる時と変わらなくない?
そう思ったら好きというより面倒かけられてるって考えちゃって一気に気持ちが冷めた。少しは恋愛感情沸いたと思ったのにな…
そう思った私はすぐに彼に別れたいと伝えた。
しかし北斗はそう簡単には別れてくれなかった。
幸いなことに同じ授業は私が連絡しないからか起きれず来ていなかったが、電話、メール、SNSに真理子まで使って連絡を取ろうとしてきた。
そのうち真理子もグルかもしれないと思い始めて3年の
結城さんは私とってお兄さん的存在で軽音サークルのことだけではなく色々面倒見てくれていた。
「結城さん、蓮どうにかしてください。もうしつこくて嫌~」
「じゃあさ、あいつが嫌がることしてその写真送りつければ一発じゃね?」
そういいながら煙草をふかした。
煙草は嫌いだったけど結城さんをはじめとする先輩がみんな吸っていて最近は
結城さんの煙草の匂いだけ何故か好きだった。
煙草…そういえば、煙草を吸う女は嫌いだって言ってた。
結城さんにそれを伝えると未成年で煙草を吸えない私のために、自分の煙草に口をつけてから私に持たせ、吹き返すタイミングで肩を寄せて自撮りをした。
「この写真送りつければ流石に手出しはしねぇだろ。あいつ俺のこと怖がってたし」
くくっと私にいたずらっ子のような笑みを浮かべ喫煙所から教室へ戻っていった。
…ここだけの話、ちょっときゅんとした。結城さんにはモデルさんのように細くて美人な怜奈さんという4年生の彼女がいたから略奪なんて1mmも考えなかったけど。
この写真を私からではなく、真理子を通じて見た北斗は観念したようだった。
そして彼を大学で一切見ることがなくなった。
噂によると単位を落としまくり、わずか半年で留年が決まったそうだ。
両親にもその通知が行き、大学中退をせざるを得なくなったとのこと。
あっけなく終わった私の初彼氏。
そして半年は友達や先輩と楽しく過ごした。
平和すぎてあっけなかったし、何か物足りなさを感じた。
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