第1章 現実逃避
自己嫌悪が酷い私でも優しく接してくれる人もいた。
中学生になって初めて好きになった同級生もその一人だった。
その男の子にバレンタインデーに初告白しようとしてもチョコすら貰ってもらえなかったのがショックでアニメオタクになった。
アニメやゲームのキャラクターは現実とはかけ離れていて、心の安らぎという幸せをくれた。
中でもキャラクターと恋愛できる乙女ゲームにハマってキャラクターに恋をした。
だって乙ゲーのキャラは私を傷つけないし、言ってほしいことを言ってくれる。
現実なんてどうでも良くなった。
あぁ、1人でも平気だ私。
習い事でも学校でもひとりが好きになった。
中学もほとんど一人で過ごし、高校なんて誰とも喋らず過ごせたら楽だななんて思った。
でも、やっぱり寂しいんだ。
四六時中ゲームや習い事に夢中になってる訳では無いから学校はやっぱり苦痛だった。
高校に入って周囲から無視されたり悪口を言われたり、いわゆる軽いイジメをうけた。
数少ないアニメ友達だけは味方でいてくれたけど、一年生の時に半年アメリカに行ってまた私は欲張りになってしまった。
アメリカではアジア系の子が人気だった。
特に日本人は珍しく綺麗系な容姿が多いアメリカ人の中で幼く見える容姿が魅力的に見えるらしい。
私はほとんど英語が話せない状態で現地の同世代の子達が通う高校に入ったが日本と違い、みんな私を可愛いとはやし立てた。
日本より簡単な教科もあって、英語が理解出来ればスラスラ解けた。
あぁ、学校ってこんなに楽しかったんだ。
久しぶりに現実が楽しいって思えた。
現地でもバレエはやりたくて父親の日本人の同僚の娘さんが通っていたバレエスクールにも通い始めた。
そのスクールでも一番うまい!とはやし立てられて同じ生徒からも尊敬の目を向けられた。
嬉しくて久々に現実を楽しめた。
おかげで半年なんて一瞬で過ぎた。
私は帰国し、また軽いイジメを受けながら同じ現実逃避の日々を過ごした。
アメリカが楽しすぎたせいで部活の全校応援や球技大会などの行事はズル休みした。
教師から無理やり生徒会長をやらされたために文化祭などの生徒会が活躍する行事は仕方なく参加した。
先輩も同級生も後輩も教師も誰もかも嫌いだった。…色々見てくれていた先生を除いては。
そんなこんなで高校ではリアルに目を向けることなく卒業した。
イジメのことは家族には言っていなかったのでやっと解放されたと清々した。
母親も自分の両親が家庭内暴力で警察沙汰を起されて精神状態がよくなかったし、私に対しても当たりが強かったからとてもじゃないけど言えなかった。
母方の祖父は血が繋がってなかったけど本当に考えていることが訳の分からない人だった。
私の前で平気で祖母と喧嘩する所を見てから祖父母どっちも嫌いになった。
夜中に警察から呼ばれるのは本当に勘弁して欲しかった。
そんな嫌なこと2つから解放されるのかと思ったら大学が楽しみになった。
茨城の田舎町で育った私は大学進学を機に母親と上京した。
なんとなく気分でアニメオタクも高校卒業と同時にやめ、いわゆる大学デビューをした。
おばけのようなぼさぼさな長い黒髪を栗色のショートボブへ変え、ギャルっぽいメイクをネットや雑誌で勉強した。
大学に入学して私は陽キャを演じた。
おかげで表面上仲良い友達は無限にできた。
私の学部は外国語科で大学内でも陽キャの集まりだった為にそうしてないとまたイジメを受けると思ったから。
外国語科だけ固定のクラスがあった為に表面だけでも仲良くしなきゃやってられない。
サークルに入ることで更に表面上の仲間もできた。
軽音サークルに入った私は文化部系サークルのコンパで同じ固定クラスの子、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます