第4章 恋愛感情

颯太は私と同じ学部で1年から知り合いだった。

浪人して1歳年上の彼は私の恋愛事情にまでアドバイスしてくれた。

だからなんでも相談した、夜の事情まで事細かに。

お兄ちゃん的な存在だった彼にまんまと恋に落ちた。

告白した、もうしないと決めてたのに。

勿論あっけなく振られた。

でも今までと違ったんだ、答えは…


「陽菜がその気なら身体だけの関係でもいいよ。陽菜が悪いのか見てやるよ」


1回だけならと私は行為を受け入れた。

その頃、丁度父親が単身赴任から帰国し母と暮らすため私は一人暮らしを始めたから家に招いた。


「別れたいなら協力するからさ、この家俺以外に誰にも入れないでよ」


その甘いセリフに乗った、私は汚い女だ。

別れてないのに何度も颯太と寝た。

初めて行為が心地よいと感じた、彼も相性がいいなんていうから余計舞い上がった。


「陽菜、俺お前よりいい女と出会ったことねぇよ。ホントいい身体、好きになりそう」

「…好きになってよ」


私は好きなんだからと言いかけるとキスで言わせないようにする。

あぁ、こうやってまたいいようにされちゃうんだ。

でもね、何よりそれでもいいって思ったのはね、私のために避妊をちゃんとしてくれたこと。

坂本はそんなこと関係なし、ピル飲まなきゃ妊娠するっつーの。

…子供嫌いなくせにね。


「俺は妊娠されても困るから絶対避妊するよ。女にも負担だしね」

「それが普通なんだよね、なんでわからなかったんだろう」

「それはお前が流されやすい優しい奴だからだよ」


そうやって何人の女手玉にしたんだこの人。

単純に思ったよね。


そんな浮気生活も坂本にばれて終わりを告げる。

さらに束縛が強くなった。

そんなにわたしがいいの?汚れた女なのに。


颯太と行為をしてから私は坂本とはしなくなった。

というか痛くて我慢ならなかった。

この時から私の男癖は悪くなった。


夜中に近所に住んでた後輩たちに呼ばれて酒飲んでちょっといい雰囲気になった1人の子とワンナイト。

アルバイト先の二つ上の先輩ともクリスマスにあえてデート。

同期の永井ともワンナイト。


どんどん私は汚れていった。

サークルもやめてよかった、人間関係がめんどくさくなるし。

颯太とはばれて以来会いもしなかった、会ったらまた求めてしまう。


忘れるためにナンパされに行ったこともあった。

ホスト好きの幼馴染みと歌舞伎町のホストクラブにも行った。


坂本はそんな私でも手放そうとはしなかった。

「お願い、俺を捨てないで」

そればっかりで別れられなかった。

それどころか家に颯太を連れてきてヤってるところ見せてと性癖がおかしくなってきた。

寝込みを襲って目隠ししたり、首を絞められたり…

そこまでされて私は痛くても抵抗しなくなった。


そんなこんなで私たちは大学を卒業し、就職した。

私は早い段階で東証一部上場企業への就職が決まって、坂本は12月くらいに運送会社へ就職した。


私は川越に住み、坂本は川口へ住んで会う機会がぐっと減った。

土日だけ私の家へ通い、それ以外は別々。

最初のころは快適で、仕事も楽しいし、上司もいい人ばかりで充実していた。

でも、半年で部署が規模縮小のためになくなり異動になった。

そこから歯車は狂い始めたんだ。

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