第11話 魔王(?)メフィストフェレス2

 その頃、森の奥に進んだメフィストとジジは……。

「メフィスト様」

 魔物が倒された場所につき、ジジが驚いていた。

「ああ」

 ゆっくりと頷いた。

「相当の手練れがいるみたいですが、誰でしょうか?」

 ジジが問い掛けている時、メフィストは村の方を見ていた。

 すると、物音がした。

「誰だ!」

 ジジが隠し持っていた腰に差した剣を構えた。

「兄貴、大丈夫ですか?」

「大丈夫な訳あるか!」

 キーチとカイジが歩いていた。

 キーチの右腕には三角巾がされ、首から吊るされていた。

「で、ですよね」

「全く、何故、あそこに化物がいる。俺の商売道具の白き銃まで大破してしまったし」

「酷い話ですよね」

「ああ、次会ったら、ぶっ殺してやる。不意打ちをして、急所を狙えば、魔族の血だろうが、関係ないからな」

「流石、兄貴」

「だろう」

 二人があの場所まで歩いて来た。

 そして、メフィストとジジと目が合った。

「まっ、魔族」

 メフィストの容姿を見て、異形の姿と判断し、二人は顔を青くした。

「なっ、なんで、こんな所に」

 キーチが挙動不審な態度を取った。

「ジジ、剣を下ろせ」

「はい」

 メフィストの命令に素直に聞き、剣を納めた。

「あっ、兄貴」

 二人は一巻の終わりだと、体で感じていた。

 足が震えて、動こうにも動けなかった。

 メフィストが二人を威圧していた。

「死にたくなければ、答えろ」

「はっ、はい。何でも」

 キーチはゴマをすった。

「これをやった奴は誰だ?」

「えーと、それは……」

「答えられないのか?」

 メフィストは更に冷たく睨んだ。

「いっ、いえ。見た目は人間なんですが、中身は左目だけ紅くなる化物で、確か名前はルカと名乗っていました」

 必死で訴えた。

「そうか、分かった」

 メフィストは怪しく笑った。

「あのー、お命は……」

「ああ、今回は取らないでやる。とっとと失せろ」

「はっはい」

 キーチとカイジは死に物狂いで走り去った。

「楽しくなりそうだ」

 メフィストが呟く。

「メフィスト様、どうかされましたか?」

「なんでもない。それより、調査を続けよう」

「はい」

 二人の魔族は更に森の奥を進んだ。

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