第9話 解雇された若者5

 村に入り、ニアとギギはカイジとキーチを追い掛けた。

「こら、待ちなさい!」

「くそー、しつこい女と魔物だ」

「魔物じゃないでしゅ、魔族でしゅ」

 キーチが言った事にギギが文句を言っていた。

「どっちも黒い血が流れているんだ。同じだろう」

 カイジが更に言う。

「違ーう。もう、怒ったでしゅ。僕も本気になるでしゅ」

 ギギは猛スピードを出し前の二人を追い抜いた。

 そして、二人の目の前に浮くと、黒い光を出した。

 すると、ギギは色黒のナイフを持った女性となった。

 この女性は、必要最小限の衣服しか身に付けていなかった。

「そこまでだ」

 口調もギギとは違い、大人ぽくなり、言葉もはっきりしていた。

 ギギはキーチの動きを止め、首筋にナイフを当てた。

「この女、よくもキーチ兄貴に」

 カイジがナイフを出し、威嚇したが、その手をニアが握り締めた。

「お前の相手は私だ!」

 化けの皮が一気に剥がれ、ニアはそのまま、一本背負いをした。

 続けて腹部を肘で殴り、カイジは気を失った。

「余計な事を」

 ギギは呟いた。

「さあ、返しなさい」

「嫌だな。もう貰った物を今更返さないよ」

「それが、女性に向けて、いや、人としてやる事か?」

 ニアの後ろからルカが現れた。

「ルカさん。平気か?」

 ギギが問い掛ける。

「ああ、まあな。さて、言ったよな? 逃げたら蜂の巣にするって」

 ルカはゆっくりとキーチに近付いた。

「あれは、冗談じゃないよ」

 ルカはもう一度剣を抜き、少し念じると、銃に変わった。

 そして、キーチに銃口を向けた。

「ギギ、戻れ」

「はい」

 ギギの体が再び黒い光に包まれるとコウモリの姿に戻った。

「さて、なにか遺言はあるか? それだけは聞いてやる」

 ルカは睨んだ。

「くっ、申し訳ない。許してくれ」

 キーチは土下座した。

「ほら、この通り、お金はお返しします」

 お金の入った袋を地面に置くと、ギギが取っていき、ルカに渡した。

 その一瞬をキーチは狙っていた。

 キーチは懐からあの銃を取り出し、ルカに撃とうとした。

 ルカは一瞬早く反応して、素早くキーチの所に向かい、銃を持っていた右手を蹴り上げ、銃を高く上げた。

 ルカはその銃を持っていた銃で撃ち、レプリカを粉砕して、キーチの頭に銃を当てた。

「今度、面見せたら、次は無い」

 ルカはキーチの右腕を撃った。

 そしてルカは……倒れた。

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