第6話 解雇された若者2

 ニアはキーチとカイジを屋敷に案内して話をしていた。

「そんな大金払えません!」

 ニアは驚いていた。

「それは当然の額だぞ? 安い位だ」

 カイジが話していた。

「それは……」

「こんな辺境の地に足を運んだんだ。無理なら帰らせて貰うぞ」

 キーチが歩き始めた。

「それは出来ません。ここにお金なんて……」

「それに、酒場にいたあの男も解雇したとはいえ、雇っていた。失礼だろう」

 カイジが更に畳みかける。

「それはおじいちゃんが……」

 ニアは言い訳を言おうとしたが止めた。

「まあ、無理なら帰らせて貰う」

「この村がどうなってもいいの?」

「構わないさ。こんなチンケな村。帰るぞカイジ」

「はい」

「わっ、分かった。なんとかして払うわ。だから、お願い」

 ニアが頼んだ。

「そう言えばいいんだ」

 キーチはニヤリと笑い承諾した。

「では、お願いします」

「じゃあ、前払いの半額を頂こうか」

「分かったわ。用意するから待って」

 ニアは部屋を出た。

「やりましたね。キーチさん」

「ああ」

「はい。ど~も」

 ルカが部屋に入った。

「お前はさっきの飲んだくれ!」

 カイジが指を差す。

「あっ、覚えててくれた? 有り難いな~」

「なんのようだ?」

 キーチが聞いた。

「そうそう。魔物退治に身を引いてくれないかな~って、思って」

「なにを言ってやがる」

「そうだ。寝ぼけるのもいい加減にしろ!」

 キーチがルカの胸元を掴んだ。

「格下のお前がなにを言ってる」

「そうだ。そうだ。あんな娘に投げられて」

 カイジが言う。

「はあ……」

 ルカはため息をついていた。

「まあ、いい。丁度、ウォーミングアップしたかった所だ。表に出ろ」

 キーチが先に外に出た。

「ほら、行くぞ。カイジ」

「はい」

「あっ、ああ」

 キーチがカイジを見た。

 すると、ルカの背中を押した。

「分かった。行くよ」

 ルカは自らの力で歩き始めた。

 外に出るとすぐにニアがいた。

「ニア。ここに行けば会えると思ったけど、また会えたね。嬉しいよ」

 ルカは満面の笑みを見せた。

「ちょっとお前がなんでここにいるのよ。ってか、なんでここが分かった」

「ああ、勘。かな~」

 ルカがニアにしがみつこうとしたが、キーチがルカを持ち上げた。

「金は用意出来たか?」

「ええ」

 ニアがお金の入った袋を見せ、音を聞かせた。

「ああ、受け取ろう。カイジ」

「はい」

 カイジがお金の袋をもぎ取った。

「では行こうか」

「あっ、でも~」

 ルカがニアに向かおうとしたが、キーチがルカの襟を掴み、外に出た。

「ちょっと、勝手に行かないでよ。私も行く!」

 ニアも後を追った。

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