第4話 二百年位前の男2

「覚悟なさい!」

 ランカは銃を構える。

「威勢のいい女だ。まっ、嫌いじゃないがな」

 ランカは魔族に囲まれた。どの魔族も巨漢で、毛深かった。

 それが囲まれると、流石に不利だった。

「くっ」

 ランカは周りを見て、隙を探していた。

「よくも、同朋をやったな。覚悟しろ」

「覚悟するのはどっち。私が死んでも他の人が敵を取るわ」

 魔族の数はどんどん減っていった。人間がどんどん殺して行ったからだ。

 ランカも人間が優位に立っているのを、実感していた。

「なら、死ね」

 魔族は剣を抜き、向かおうとしたが、寸前で止まった。

「かっ、体が動かない」

 魔族は動きを止められていた。

「一人の女性相手に卑怯だろう?」

 ランカの正面にスーツ姿のあの男がまたいた。

「あんた」

 ランカは男を見た。

「全く、人間に魔族と言われようが、男には変わりない、不意打ちに多人数による強行、卑怯以外に何がある?」

「お前は」

「死にたくなかったら、失せろ」

 眼鏡を上げ、魔族達を威嚇した。

「うっ、お前は……」

 魔族達の力が抜け剣を落とし、そのまま歩き去ろうとした。

「待ちなさい。私は!」

 銃を撃とうすると、その前に男が目の前に現れ、銃を掴んだ。

「女性が物騒だ」

「邪魔しないで、悪魔!」

 銃を持たない左手で男を殴ろうとしたが、男も右手でランカの左手を掴んだ。

「悪魔か、言われると傷付くのだが」

「あんたも魔族の癖に、人間に害をなす奴の心何てどうでもいいわ。ともかく離して」

「嫌。貴女は自分の命を何だと思っている?」

「うっ」

 ランカは力を抜いた。

 それに合わせて男も手を離す。

「魔族に説教されるなんて」

 正直、気分が悪かった。

 しかし、ランカは隙を見逃さず、男の頭を目掛けて銃の引き金を引いた。

 弾は男の頭に向かったが、男は避けようとしなかった。

 そのまま頭に当たろうとしたが、寸前の所で弾が止まった。

「何で」

 ランカは当然驚いた。

「異種族でも、急所は同じですから、ここはマズいですよ。弾は弾ごと止めました」

 頭に手を当てると、弾はそのまま、地面に落ちた。

「そんな、こんな強い魔族に当たる何て」

 ランカは覚悟を決め、頭に銃を当てた。

「どうせ私を辱める為に、追いかけたんでしょう。だったら、死んだ方が」

 男はランカの銃を掴んで、ランカの手から力一杯引き離した。

「違います。魔族と言われていても、大事な物は同じです。俺は失いたくは無い。貴女は美しいから」

 男は軽く頭を下げ、また頭を上げた。

「俺の名前はルカ。色んな話がしたい。さあ、お茶にしましょう」

 満面の笑顔で自己紹介をした。

 これがランカとルカと呼ばれる魔族の出会いだった。

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