第3話 二百年位前の男1

「ううっ」

 しばらくして、斬られた男が目を覚ました。

「全く、あの子は」

 目の前でランカに撃たれ倒れた男の体を揺らした。

「死んでいるな」

 動かない魔族を見て残念がっていた。

 すると、流れ出ていた血が一気に結晶化した。

「なっ」

 男が驚いている間に体中全てが、赤い結晶体となり、吹いた風で粉々に砕け散った。

「確かに、あの銃は魔を撃つみたいだな」

 関心しながら壁に寄りかかり、タバコをくわえた。

「全く、人間の呼ぶ魔族も痛みは感じるんだ」

 そういい煙を吐いていた。

 その間に男の体から流れた血が逆再生のように体の中に戻り、傷が治っていた。

「新調したスーツがボロボロだ」

 傷は治っても、服はそのままだった。

「さて、行きますか」

 男はタバコを消して立ち上がった。

 そして、目を瞑り、耳を澄ましランカの足音を探る。

「いた」

 男は一瞬にして姿を消した。

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