第四章 最凶な悪魔

第25話 最凶な悪魔1

 ハクチと呼ばれる街。

 この街は商人の街で、世界各地から農作物や漁業で捕れた魚、魔物を倒す為の武器、魔族が作り出した科学の結晶体等あらゆる物が売られている。

 その街の中にある一際目立つ屋敷があった。その屋敷の中。

「パパ、起きて~」

 男の子供が父親を起こしている、よくある日曜日の風景だった。

 子供の耳は少し尖って、赤い髪に赤い瞳、邪悪な気配は全くしないが、魔族の血が流れていた。

「うーん、眠い」

「パパ、遊ぼー、約束したよ~」

 父親の顔は耳が尖っていたが、人間の顔である。

 子供の顔は父親に似ていた。

「うーん」

 父親が目を開け、起き上がる。

 邪気は無いが、魔族の象徴である、赤い瞳をしていた。

 悪しく無いが、魔王と呼ばれている男である。

 魔王の名前はルシファー。

 昔は沢山悪さをしていたらしいが、二百年ののち、今や只のお父さんだ。

「そうだったな」

 子供の頭を優しく撫でた。

 子供は満面の笑みを浮かべた。



 ルカとニア、そしてギギはハクチの街の外れにいた。

「この辺りにいるはずなんだけどね~」

 魔物を探していた。

 今回はその魔物を捕獲する仕事であった。

 生態系の変化は、可愛い魔物を作り出し、ペットとして飼う人も現れた。

 そのペットが逃げ出したのだ。

 ギルドではこう言う仕事も請け負っていた。

「ってか、ギギ。なんで、こんな仕事する事になったんだ?」

「報酬が良かったからでしゅ、それに、これならルカしゃんも傷つかないでしゅ」

 ギギはお金が大好きだ。

 報酬がよければ、本当はどんな仕事でも構わないのだ。

 こう言う魔物の捕獲も、仕事の割に高い報酬が出る。

 魔物をペットとして、飼うのは金持ちしかいないからだ。

 どんなお金を出しても取り戻したい。ペットへの愛着があれば、当然であった。

「だからって、依頼を受けるな!」

 ルカは捕獲する仕事が特に苦手であった。

「でも、ギギの気持ちも分かるわ。それに私も手伝えるし、いいじゃない」

「でしゅ」

 ギギは大きく頷く。

 たまに仲のいい素振りを見せると、女性二名だ。ルカも反論出来ない。

「はあ……」

 ルカの視界に探していた魔物がいた。

 耳が長く、クリクリとした瞳と、白い体毛をして、両手で持つ事の出来る大きさをしていた。首輪が着けられ、確実にペットである。

「いた!」

「本当だ」

「よし、取り囲むぞ」

「うん」

「ギギも手伝え」

「分かっているでしゅ」

 二人と一匹は魔物の所に向かった。

「よーし、そぉ~と」

 ルカが正面から攻め。

「そーと」

 ニアは魔物の後ろから攻める。

「しょぉ~と」

 ギギは上から攻めた。

 徐々に近付き、ルカがニアに合図すると、ニアは頷き魔物を捕まえた。

「よーし、捕まえた♪」

 ニアが魔物持ち上げた。

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