2話 元担任の女教師とシェアハウスで暮らし始めました

目の前の出来事に唖然としてしまっている僕に、彼女は嬉しいそうな顔で、僕に近づいて来た。

「ねぇ、拓昌くんでしょ?」

と、肩を掴んで揺らしている。

一方僕は目の前光景を信じられないでいた。

だって、これから、一緒に住んでいく人の中の一人に元担任の女教師がいるんだよ?

しかも初恋の。どんな状況だよ。


「お、お姉ちゃん?拓昌君のことなんで知ってるの?」

優子さんが会話に割り込んで来た。

「この子先生始めた頃の一番最初の生徒だよ!取らないでよね?」

「はいはい。わかりましたよーだ。」

と何やら、ちょっとした言い合いになりそうだったので少し焦ったが、大丈夫そうだ。

まぁいい、とりあえず色々気になるので質問しよう。

「先生、なんで苗字が違うのにお姉ちゃんと呼ばれてるんですか?」

「血は繋がっていないけど、お母さんの再婚相手の父さんの連れ子だったのよ。」

「そうなんですか。先生は何故ここに居るんですか?」

ヤバい単刀直入に聞きすぎた!あれ、全然先生喋らなくなっちゃった。怒らせちゃったかな?マズいな…

「あ、先生ゴメンさい。この話はなかったことに…」

「いえ、聞いてもらいます。どうせこの先言わなくてはならないことだろうと思うので。」

僕の心臓はバクバクと早く鼓動を刻んでいた。先生がここにいるということは、教師という職業を辞めたに違いない。

年配の先生達からのセクハラもしくはパワハラか?それとも生徒達のせいで先生をするのが辛くなって辞めたのだろうか?

そう考え思わずゴクリと息を飲む。

「先生ね、実は小説家になったの。」

「へっ?」

予想外の回答が来たため、僕は思わず変な声が出てしまった。

「ショウセツカ?ナンデスカ?ソレ?」

頭が回らなくなりカタコトな言葉で返答してしまった。

「本書く仕事だよ。この小説知ってる?」

と見せられたのは、今、ものすごい人気で、

テレビでも、よく書店でも品薄でなかなか手に入らないと有名な、作家高上岸子さんの「花火と月灯りと君の笑み」という小説だった。ちなみに僕も持っている。


「この本わたしが書いたんだよ?」


「えっ、えーー、人気作家なのに顔出ししていない、って先生のことだったんですか…

すごい…」

思わず気がつけば、口がぽかんと開いて、しまっていた。だって僕は、この人の人気が出る前に、ファンになっていたから、つまり、元担任の先生が書いた本を読んだということか…そんなのわかるわけないでしょ…


「ぼっ、僕実はその本が出る前から…」


「ねぇ、もう、話すのはまたまた後でいい?

お姉ちゃん?拓昌君まだシェアハウスを紹介すらしてないし。」

あ、そうだった、優子さんが会話に割り込んで来たおかげで、気づいたけど、そういえばまだ、シェアハウスの説明を受けてないんだった。


「そういえばそうだったわね。また後で説明が終わったら話しましょう。絶対拓昌君に手を出さないでよ?」

優子さんを睨んで、高木先生はシェアハウスの中に入って行ってしまった。


「はあー怖いなぁ〜全くお姉ちゃんは嫉妬深いというかはぁ〜まぁいいやはい、行くよ

拓昌君」と言って。シェアハウスに入った。


「わぁ、綺麗だなー結構広いし。」

外見も綺麗で大きかったが、中も綺麗でしっかり片付けられている。そして、何より目の前にあるリビングはとても広く、一回にドアが6個ある上には5個ある。おそらく僕で部屋の数が丁度だな、一つトイレ、一つお風呂と考えると。


「上が女子部屋で上が男子部屋よ、で一つずつ余っている部屋は1階はお風呂で2階はトイレよ。

ちなみにお風呂は揉め事が多いから、設定してある時間に入ってね?リビングは自由に使っていいけど、お互いが住みやすいようにね?

冷蔵庫も、キッチンも自由に使っていいけど

冷蔵庫に食べ物入れる時とかはマジックとかで名前書いてね絶対に揉め事になるから書かないと。ということでシェアハウス生活を楽しんで!ちなみに君の部屋は205号室でお姉ちゃんの部屋は106号室だからね。」と言って管理人室に帰って行った

僕は、荷物を置きに自分の部屋に向かった。

部屋を開けるとある程度の家電が置いってあった、きっと父さんと母さんがこっちに僕の部屋のテレビなどを送ってくれたのだろう。

荷物を置いたので、先生の部屋に向かう。


「いや、女の人の部屋入るの初めてだから緊張するなぁ…」

ドアノブに触れた時少し緊張して、思わず独り言をいってしまう。

でも、勇気を振り絞ってドアノブをひねったその瞬間ピンクの生地に包み込まれた丸い二つの雪見大福に目が釘付けになった。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー」

コレは事故だ。まぁ、ラッキースケベくらいではあるかもしれないが、不幸な不慮の事故です。ドアノブを叫ばれた瞬間勢いよく閉めたけど…あ、でも先生に嫌われたかな?だったらやばいな…


先生が顔を真っ赤にして3分後出てきた。


「拓昌君見ちゃったよね?あはは、ゴメンね私が後でまた話そうて言ってたからでしょ。私も、着替えてから行こうとしていたんだけどね。まぁ入っていいわよ。」

照れながら笑っていた、先生は僕からを部屋に案内してくる。


「お邪魔します。」

僕の入った憧れのずっと好きだった元担任の女教師の部屋はデスクの上にパソコンと原稿用紙だけ置いてあり、部屋の隅っこに、畳んだ布団が置いてあるという、世に言う殺風景と呼ばれるような部屋だった。少し期待した10秒前の僕をなぐりたい…泣泣


「で、なんですか先生?」


「まぁ、とりあえず座ってから話そうよ。」そう言われて僕は床に座った。


「あのね、この際だからね私ね、ずっと拓昌君に言ってなかったことがあるの」


「ごっくり」

思わず、僕も息を飲む。


「それは、拓昌君が私の小説読んでないかもしれないけれどこの本に拓昌君とやりたかったことを小説に書いたのが私の小説なの。」


僕は熟読してます。

あなたの本を内容をしっかりと把握していますが、マジで言っているのだろうか彼女は、僕は、完璧にフリーズしてしまった。

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