第4話 自分のスキルとステータス


「はあ、、、、、、

 なんっか微妙だな、、、、」


ステータス測定が終わり、自分のステータスカードに目を通した俺は、

思ってたのと違う結果に少しがっかりしていた。


「可もなく不可もなく、か、、、、」


俺のステータスカードは、まさにそんな感じの言葉が似合う。

その内容とは、


身体能力:28

知力:26

精神力:24

魔力:26

ステータスレベル26


と言った感じだ。



(、、、、、、、、微妙すぎるっっっ

 俺が前読んだ小説だと、主人公がもうめっちゃ強い、みたいな話だったのに!!

 はあ、、、しょうがねえか、、これはこれで平均以下でないだけマシだな、、、、

 身体能力が高いのは、小さい頃から親に色々やらされていた影響だろう。

 そして精神力が少し低いのが気になる。)


俺がそう思ってると、背後から



「キャー!!天城君すごいいい!」

「まじヤバくね?ステータスレベル32とかまじヤバくね?!」

「、、、かっこいいです、、、、、」



といった、黄色い声援が聞こえてきた。

誰に向けたものであるかは、明白だろう。


そうあの天城である。

女子の声を聞くに、奴のステータスレベルは30を超えているらしい。


ということは、この物語の主人公は天城か。

さすがクラス屈指のイケメン君だな。


というかそんな簡単に、人にステータス見せてもいいのかよ。

大丈夫なのか?あいつ。



「フォッフォッフォッこれはこれは、天城”様”。

 初期の段階でステータスレベルが30越えとは、まさしく

 ”勇者”でございますなあ。」


「い、いえ僕はそんな大層なものじゃ、、、、」


魔法大臣に素直に褒められ、謙遜してはいるが、どこか嬉しそうだ。

口元がニヤついている。


、、、、、、、、いいなあ、、、。

男だったら一度はこういうことに憧れるだろ、、、。


自分の力が可視化されたのがそんなに嬉しいのか、みんながみんなざわついている。

そんな中、



「じゃあ、そろそろスキルの確認と説明も始めるかの。」



と魔法大臣がいうと、

なんで?王女様は?という声が上がる。

その問いに魔法大臣が、


「王女様は、思ったよりも疲れててのう。しばらく自室で休んでおるそうじゃ。」


と答えると、またさっきのような絶望組が現れる。


、、、、、やっぱ王女様のほうがいいよな。


そして魔法大臣がスキルの説明を始めたのでそちらに意識を傾けた。



「スキルとはステータスとは関係のない、各々の能力のことじゃ。

 一般的なものだと、武術や魔法、そして特殊なものだと、

 君たち勇者などに与えられる、”加護”じゃな。

 勇者に与えられる加護というものは、そのスキルを持っている者の、

 成長速度が上がる。というモノじゃ。

 つまり君たちの成長速度が速いのはこのスキルのおかげ、ということじゃな。

 スキルには、ステータスと同じようにスキルレベルというものがある。

 このスキルレベルは、スキルの熟練度を表したものじゃ。

 レベルが上がると、スキルの能力も上がっていくぞい。

 では各々のスキルを確認してみるがよい。

 ステータスの隣に書いておるじゃろう。」


そう言われたので俺は、スキルの確認をするためステータスの横の欄に目を通す。

すると、まず一番最初に目に入ったのは、”勇者の加護”というスキルだった。

なるほど、これが先ほど大臣が言ってたやつか。

他には、


【雷属性魔法Lv1】

【闇属性魔法Lv1】

【格闘術Lv2】

【第六感Lv1】

【生活魔法Lv1】


などがあった。


、、、、こんだけ?

少なくない?こんなもんか?


俺がそう思った途端、


「キャー!!すごいわ!天城君!!スキルが20個もあるなんて!!

 私なんて11個しかないわよ!!」

「聖属性魔法とかまじヤバくね!めっちゃ強そうぢゃん!!」

「天城君はやっぱり私の王子様ですぅ、、、、、」



、、、前言撤回。俺のスキルの数はめっちゃ少ないっぽい。

まじか、みんなそんなに多いの?


俺はそう思い、近くにいた奴に話しかけてみる。


「なあなあ、お前ってスキルの数どれくらいだ?」


「は?何言ってんだ?教えるわけねえだろ。」


、、、ですよねー。

俺はその人に謝りつつ、その場を離れる。

やっぱり俺のスキルの数は少ないのか、、、、、、、?

そんなことを考えていると、


「皆、スキルは確認し終わったかの?王女様が戻ってらっしゃったので、

 話を聞くように。」


そう魔法大臣が言ったので俺はそちらの方を向く。

すると先ほどいなくなった、王女様がまた戻ってきていた。


「以上で、この世界に関する説明は終わりです。

 この後、勇者様たちのお泊りになられる部屋に、案内いたしますので、

 お待ちください。部屋のものは自由に使っていただいて結構です。

 明日は、朝7時頃ここに来てくださいね。

 この世界の言葉に関する説明をいたします。」



これでやっと終わりか、、、長かったな。


そう思いながら空を見ると、来た当初青かった空は、薄暗い赤色になっていた。

どうやら説明だけで、4,5時間程経ったらしい。

明日は言葉を学ぶのか、、、、やることが多そうだ。



その後、俺たちは大臣に案内され、各自の部屋に向かった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ふう、、、、、、、」


息を吐きながらベッドの縁に座る。

案内されたのは10畳ほどの、一人にしてはいくらか大きい部屋だった。


「、、、、これから大変そうだなあ、、、、、」


俺はそう呟き、ベッドに横たわる。


何も勝手がわからない異世界で、これから俺は生きていかなきゃならない。

この世界はまさにファンタジーな世界だ。

魔物というのが居るそうだし、魔法なんかも存在する。

そして、あの水晶玉のようなものが、どんな仕組みで俺たちのステータスを知ったのか。


「よく考えると疑問ばっかだな、、、」


あの王女という存在、そして魔法大臣と名乗る老人、

そしてこの国自体、どんなものなのかもまだ詳しくわかってない。


「こんな世界で本当に生きていけんのか、、、、、、?」


こんな漠然とした不安なんて抱いてもどうしようもないのに、どうしてもこの環境のせいで不安が俺に絡みつく。



自分の身に何かが起こったりしないか。

もしかしたら、魔物と言うものが案外強くて、殺されてしまうかもしれない。

死ななくても四肢のどれかが欠損してしまうかもしれない。

もしかしたら、、、、、、、、、



そこまで考えたところで昔、母が言っていた言葉を思い出した。



『もしかしたら、で勝手に決めつけて陰気になってんじゃないよっ!

 大事なのは、”そっからどうするか”だ!!

 解決策も考えてねえのに、勝手に決めつけてちゃあ、何も始まんないよっ!!』



よく、母が俺を叱る時に言っていた言葉だ。

ちょっとしたことでも母は使っていたが、今の俺にとってはとても重要な言葉に思えた。


「そうだよな、これからどうするか考えなきゃ、始まんないよな。」


そう自分に言い聞かせて、拳を握り締める。


「っし。気合い入れてくか!!」


そんな風に立ち上がって叫びながら



俺、一条和真はこの世界で生きていくことを決意した。




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和真のステータス


名前 一条和真  性別:男  年齢:17


ステータスLv26        〔スキル〕

               【雷属性魔法Lv1】

身体能力:28         【闇属性魔法Lv1】

知力:26           【格闘術Lv2】

精神力:24 【第六感Lv1】

魔力:26           【生活魔法Lv1】




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【雷属性魔法】・・・魔力で雷を生み出せるようになり、

          その雷を操れるようになる。

          しかし、雷を自由に操れるようになるものはごく少数。

          魔力消費量:小

          

【闇属性魔法】・・・魔力で闇を生み出せるようになり、

          その闇を操れるようになる。

          闇は汎用性が高く、魔法の種類は多い。

          そして物理的な干渉も可能。

          しかし魔力消費量が多く、ほとんど使えるものがいないため、

          ”ハズレ”として扱われる。

          魔力消費量:極大



【格闘術】・・・格闘術のスキル。

        なぜ和真が持っているかと言うと、

        昔、護身術(?)を母の知り合いに教わっていたから。

        しかし当時体も小さく、力も弱かった和馬は

        2年間頑張ったが、やめてしまった。



【第六感】・・・和真がよく感じていたものの原因。

        結構レアなスキル。



【生活魔法】・・・生活するときに使う、ちょっとした火や水などを

         簡単に魔力で作り出したりできる。

         魔力消費量:極小



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