第3話 ステータスというものについて。
王女様曰く、ここはオルフォード王国の、王宮闘技場?というところらしい。
なるほど、だからコロッセオっぽく見えたのか。
と、一人納得しながら、王女様の話を聞く。
「ではみなさん。スキルとステータスというものをご存知ですか?
ステータスとは、個人の知力、精神力、身体能力、魔力の、4つの力を
数字であらわしたものです。そしてスキルとステータスはともにレベルがあり、
ステータスを上げていくと、ステータスレベルも上がっていきます。」
ステータス、、、どっかで聞いたことあると思ったら、この前読んだ異世界系の本に書いてあったアレか。
(、、、ここまでくるとやっぱりここは異世界なんだなと痛感させられる。
まるで本当に小説やアニメの世界みたいだな、、、、、
そう思った時、俺の中でなりを潜めていた疑問がふと湧き上がってくる。)
「元いた世界に帰れるのか。」
「本当に自分は勇者として生きていけるのか。」
そんな薄暗い疑問で、俺の頭は埋め尽くされる。
、、、、、、、、、、やめだやめ!!!
どうせ元の世界に帰ったってろくなことはないし、考えたって無駄だ無駄!!
俺は両頬を叩き、思考を切り替える。
今のことを考えろ。今のことだけを。
これが現実逃避だってことはわかってる。
でも、、、こうでもしないとやっていけない気がする。
そう俺は考えた後、また王女様の話に耳を傾けた。
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「、、、、、という風にステータスは上がっていきます。」
(はあ、、、長かった、、、、
ステータスを上げる方法だけでもめちゃめちゃ長かったぞ、、、)
ステータスを上げるためには主に二つの方法があるらしい。
1、魔物などを倒し経験値を獲得する。
2、ただひたすらに己を鍛える
2つ目は方法といえるのかどうかはわからないが、
ともかくステータスは頑張んないと上げられないということだ。
そして、ステータスレベルというのも存在し、こちらはステータスのランク分けみたいな感じのものっぽい。
「基本的なステータスレベルの概要は、
一般人レベルで、30前後。
中級冒険者や、熟練の兵士レベルだと50前後。
上級冒険者や、王国騎士のレベルになると、70前後。
そしてミスリル級の冒険者や王国騎士団団長レベルになると、
100を超える方もいます。
勇者の初期レベルは、25前後と、この中で最も低い値となっています。
おそらくあなた達のステータスは、
多少差はあるものの、皆ほとんど同じくらいの値でしょう。
勇者のステータスは、初期値は低いのですが、たくさんの可能性を秘めています。
なので他の人よりステータスが低くても、あまり落ち込まないでくださいね。」
どうやら勇者のステータスの初期値は低いらしく、一般人にも劣るらしい。
っていうことは、一般人レベルになるだけでも、何かしらしなきゃいけないってことか。思ってたよりきちいな、この世界。
それより冒険者とか騎士って詳しくはどんなものなんだ?
説明はないのかな?
「あ、そういえば冒険者や騎士の説明をまだしていませんでしたね。
冒険者というものはいわゆる便利屋みたいなものです。
要人の護衛や魔物退治から、街の掃除などまで、
依頼であれば何でもする人たちの事です。
低い順から鉄、銅、黒鉄、銀、金、白金(プラチナ)、神金(ミスリル)と、
ランク分けされています。
次に騎士というのは、教会に所属している兵士のことです。
一般的な兵士は基本、傭兵団か、軍に所属しています。
騎士になるためには、教会の司教に許可をもらわないとなれませんので、
一般的な兵士より数が少なく、実力と装備が充実している場合が多いです。」
俺の疑問に詳しく王女様は答えてくれた。
なるほどな、しかしこれだけ聞いてると冒険者の方が、騎士より強そうなんだが、、、、、
まあいいか。
「では、みなさんのステータスとスキルを確認するための、ステータスカードというものの作成に移りましょうか。」
あれっ?スキルの説明は?俺聞いてないよ?
「スキルの説明は、後ほどみなさんのスキルを確認しながら、行いますので、
みなさんこちらへ来てください。」
あっそう。後でするのね。
まるで王女様がこちらの心を読んでいるようで、少しだけ怖くなった。
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「これがステータスを測るためのモノです。」
そう言って王女様が水晶のようなものを指差す。
本当にこれでステータスが測れるのか、、、、?
「じゃあ、、、、、とても容姿が整っているそこのあなた。
ちょっとこちらに来てください。」
指をさされ、えっ?俺?というような顔をしながら、水晶の方へ向かっていったのは、クラス屈指のイケメン君。
確か名前は、、、、天城大河だったか。
「そこの水晶の上に手をかざしてください。」
彼、天城は王女様に言われるがまま、水晶に手をかざす。
するとぼうっと水晶が光り、水晶の中に何やらわけのわからない文字が浮かび上がった。その文字はハングルのような、アラビア語みたいな字だった。
なんて読むんだ?あれ。
するとその文字を見た王女様が、
「なるほど、あなたの名前はタイガ・アマギというのですね。」
と言った。
どうやらあの文字はこの世界の文字?だろう。
「な、なぜ僕の名前がわかったんですか?!」
天城が驚いたように、王女様に問いかける。
「なぜって、、、この文字がこの世界の言語だからですよ。」
「あっ、、、あっそういうことでしたか、すみません取り乱してしまって。」
「いえいえお気になさらず。」
やはりあの文字は、この世界の文字だったらしい。
そして、天城がしばらく水晶に手をかざしていると、急に水晶の光が弱まり、消えた。
「あっもう終わったようですね。手をどけてもいいですよ。」
どうやら終わったらしい。王女様の言葉に従い、天城が手をどけると、
水晶が置かれた台の隙間から、カードが一枚出てきた。
王女様がそれを確認し、天城に手渡す。
すると天城が、
「あのー、、名前しか書かれていないのですが、、、」
と言うと
なんだ?失敗か?と少しざわめきが起こる。
「ご安心ください。失敗ではありませんので。
そこの少し窪んだところに親指を当ててみてください。
そうすればステータスが表示されるはずです。」
王女様が諭すようにそう言うと、天城はそれに従い窪みに親指を当てる。
その途端、小さくおっ!といったので、おそらく成功したのだろう。
「そのカードの内容は周りに明かすのでも、隠すのでもどちらでもいいです。
それは個人の自由ですので。
しかし、無くさないようにだけお願いします。
では、ひとりずつ並んでやっていきましょうか。」
王女はそういってみんなを並ばせる。
人がずらっと並んでいき、俺は真ん中らへんの位置に立った。
すると王女様が、ずっとそばに待たせていた大臣にこんなことを言った。
「さすがにこの人数はきついのでお願いしますね、大臣。」
その言葉を聞いた、何人かの男が絶句する。
おそらく、アイドルの握手会で、希望のメンバーじゃなかった。みたいな気持ちなんだろう。
まあそりゃあ、わけのわからん爺さんより、金髪美少女の方が全然いいよな。
そして大臣が俺たちにこう告げる。
「王女様とのやりとりを期待しておった輩には少し酷なことをしたの。
ではやっていくぞい。フォッフォッフォッ。」
俺は彼らに少し同情しながら自分の番が来るのを待った。
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