第8話 ゲームセンター!

 授業後、いつも通り関わらないようにすぐさま帰ろうとすると、レティルに引き止められ、何故か全員が家まで付いてくることとなった。


「一度、星雲の家に行ってみたかったのよね。いつも、すぐ帰っちゃって分からなかったけど」

「家についくるだけで、家には入れないからな」


 一度入れたら、あの時は入れてくれたのに! とか言って、押入ろうとしそうだし。


「はいはい、分かってるって。ちゃんとすぐ帰るから安心して」

「星雲くんの家…………一緒に下校」

「妹とヤッてないか調べようと思ったのに」


 レティルは何をしてるんだ。あまり関わるなって言ったのに……。はぁ、俺の疲れる要因が更に増えてしまったじゃないか。


「みんなで帰るんだし、何処か寄ないかしら」

「いいね、じゃあゲームセンターなんでどう?」

「却下だ、まっすぐ家に帰る」


 なんで、そんな所にこいつらと行って、貴重な俺の時間を潰さなきゃならんのだ。


「広樹お兄さん、いいじゃないですか。たまには、こういうところに寄っても」

「俺は、家にさっさと帰りたいんだ。家に帰って、夕飯を作ったりしなきゃならんし」

「その点は安心してください、今日は私が全部やるので。さっき話してたじゃないですか」 


 ああ、あれか。家事スキルがどうのこうのって。本気だったのか。


「逃さないわよ、星雲。あたしに力で勝てるとでも?」

「ごねずに……行く」

「別にごねてるわけじゃねえよ!」


 そのまま、漆原の力で押さえつけられなすすべなく、ゲームセンターへと連行された。


「いやぁ、にしても久々に来たわ。最後に来たのは、いつだったかしら」

「私も、久々…………」

「まあ、最近ゲームセンターは潰れる危機って言われるくらい少なくなってるのよ。むしろ、なんでここが残ってるのか不思議だわ」


 確かに、懐かしいな。昔家から一番近いここによく通ってたな。


「それで、来たはいいが何をするんだ」

「あれ…………したい」


 水羽が指したのは、昔ながらの格格闘ゲームだった。


「懐かしいな、確かこれ四年くらい前に流行らなかったか?」

「うん……。これ、好き」


 学校でこの格ゲーが流行り、よく妹とやりに行ったな。


「よっしゃ、じゃあやるか。言っておくが、俺はこれをかなりやり込んだからな」

「構わない」


 やり込んだ……と言っても、絡めて圧勝していただけだがな。ダウンを取られたときに、あるコマンドを打つと、ダウンのまま動けそのまま弱パンチ連打で勝つという戦法だ。まあ、俺がそれを大会でやって以降バグ修正されたんだがな。


 向かい合わせの台に座り、対戦モードを選択する。俺の選んだキャラは威力重視の巨体の大男、対して水羽が選んだのは速度重視の小柄の女の子。水羽には悪いが、本気でいかせてもらう。そう意気込み、コントローラを握る。


 Ready Fight! という文字が画面に表示され、始まった。


 すぐさま、キャラを動かし殴りかかろうとすると、相手キャラがアッパーをし宙に浮かされてしまった。そのまま、弱攻撃で体力を減らされ吹っ飛ばされる。体勢を整え、次の攻撃に移ろうとしたその時、相手キャラは一気に間合いを詰め、再び宙に浮かされ弱攻撃をされた後、吹っ飛ばされる。 


 そのまま、どんなことをしようが、全て読まれて対応され、そのまま1ダメージも与えられず。


 K・O


 となった。


「水羽すごいな、全盛期よりは劣っているとはいえ俺もこのゲームはかなりやり込んだはずなのに」

「でしょ…………」


 誇らしげに、席を立ちその場を後にした……。


「あたし、これやりたい!」


 漆原が指したのは、ゲームセンターの定番、銃を使ってゾンビ達を倒すシューティングゲーム。


「星雲、やるわよ。あたしの銃さばき見せてやる」

「さっきの格ゲーで、疲れたんだよ。神経使ったし……」

「あんな、自分強いですよ感出して一方的にやられてたのに?」


 こいつ、痛いところついてきやがるな。


「うるせえ、忘れろ。まあ、だから時雨とかとやってく…………」

「いいえ、私はいいかしら」


 セリフを言い終わる前に、提案を時雨は拒否した。珍しい事もあるものだ。


「ん? なんか、反応が早くなかったか? まさか、時雨…………」

「べっ……別に、ゾンビが怖いとかそういうのじゃないから。そんな、非科学的な物を私が怖がるわけないかしら」

「全部、言っちゃってるんだが……」


 時雨って、意外と怖がりなのか。これは良い情報を貰ったな。


「怖くないなら、やれるよ…………」

「水羽さん、レティルさん。あのエアホッケーをやりにいきましょう」


 そう言って、二人を連れそのままエアホッケーに向かった。ちくしょう、逃げられたか。仕方ない、覚悟を決めてやるとしますか。


 意外と、ゲームはサクサク進んでいった。というのも、漆原がザコ敵は全てハンドガンで倒し、ボスは温存していた他の球で一気に倒すからだ。ほとんど、俺は何も貢献できていなかった。


「ぶっ潰せぇ!」

「おい、漆原。それゾンビじゃねえから、ただの一般市民だから! なんでわざわざショットガンでヘッドショットしてんだ!」

「ゾンビに見えたのが悪いのよ」

「ひでえ」

 

 何故か、途中で出てくる一般市民は全て皆殺しにしているためどんどんスコアが下がっていき、一応全部クリアはしたがスコアは圧倒的最下だった。


「ああ、楽しかった」

「まじで、これ俺いる意味あったのか?」

「あるは、もし私が負けていらついたときのサンドバッグ用に」

「お前は俺をなんだと思っているんだ。というか、そんな事のために俺は付き合わされたのか」


 エアホッケーの方に行ってみるが、そこには誰一人としていなかったので、クレンゲームの方に向かうとそこには、大量のぬいぐるみを持ったレティルと時雨がいた。


「それ、どうしたんだ?」

「これですか? 水羽さんが全部百円で取るって言って取ったやつです」

「あいつ、本気でここを楽しんてるな」








「ふう、疲れたぁ!」

「そりゃあ、三時間も遊んだらそうなるわな」

「もう七時ですか……、私色々と支度があるので先に帰らせていただきますね!」


 レティルは大量のぬいぐるみを抱え、そのまま走り出した。カギを渡してないが、あいつなら大丈夫か。ピッキングするし。


「それじゃあ、みんなで星雲の家に向かいますか」

「付いてくるんだ」

「そりゃあ、それが最初の目的だからね」


 忘れてると思ったのに……。


「さあ、出発!」

「はいはい」


 そう言って、俺達は自宅へと歩き出した。





 




 

 

 


 




 





 

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