第7話 ガッツリ関わるなレティル!
「いやぁ、最近いろんなゲームにハマってね、睡眠がおろそかなのよね。だから、毎授業寝てるのよ」
「へぇ、漆原がゲームにハマるなんて珍しいな。どんなゲームだ?」
「えっとね、人を売ってお金儲けして増えたお金で更に人を買って高く売りさばいて、資金を集めるゲーム」
「どんな、ゲームだよ! 人身売買じゃねえか」
「それ……私の会社で作ったやつ。確か、目指せ奴隷王」
「お前の会社かよ! よく企画が通ったなそのゲーム」
お昼の時間、一緒に食べる友達はもちろん居ない。なので、一人外のベンチで食べようとしたら、レティルに引き止められ、漆原達と食べることとなっしまった。あまり関わるなって言ったはずなのに、ガッツリ関わってるじゃないか。
「私も最近、胸に栄養が行き過ぎて困っているのよ。どうすればいいと思う?」
「いきなり、お前はなんの話をしてるんだ!?」
「えっ!? だから、私の胸に栄養がいき過ぎて、重いって話」
「そう言うことを聞いてるんじゃねえよ!」
なんで、ゲームの話からいきなり胸の話に変わるんだよ。どうなってんだ、こいつの脳内は。それに、胸の話を始めた途端、なんか水羽は巨乳は敵、脂肪、邪魔と呪いの用に呟いている。
別に俺は、大きくても小さくても変わらんと思うが、女子からしたらやっぱり気になるのか?
「そういや、星雲。思ってたんだけど、そのお弁当って誰が作ってるの?」
「これ? 俺だけど?」
「意外。男は全員ダークマターか犬のエサしか作れないと思ってた」
「時雨、お前は全世界の男に謝れ!」
なんで、こいつは男が全員駄目なやつっていう認識なんだよ。最近は、男が家事をする家庭も増えているっていうのに。
「それにしても意外よね。星雲がこんな完璧なお弁当を作れるなんて」
「まあ、母親は居ないし。父親はめったに帰ってこないから、必然的に俺がご飯を作ることが多くなっただけだ」
「凄い…………」
水羽は、俺の弁当を宝石を見るかのような目で凝視している。
「なんだ、そんなに気になるなら、今度作ってきてやろうか?」
「えっ……本当?」
「ああ、どうせこれから三人分作るんだし。四人分になっても対して変わらん」
「これ……から?」
「ああ、ごめん。今のは忘れて」
水羽は「嬉しい」と囁き、少し笑顔になった。まあ、この程度で喜んでもらえるな別にいいか。
「そういえば、今度星雲の家に泊まってもいい?」
「俺の家?」
「うん、確かもう一人妹さんが居るのよね。一度でいいからあってみたいのよ。それに、星雲の家の中がどんなかんじか見てみたいのよ」
「そうかそうか、駄目だな」
「なんでよ!」
学校でも手を焼いてるのに、家にまで来られてたまるか! なんで、わざわざそんな疲れることを。
「いいじゃないですか、広樹お兄さん。どうせ家に居ても暇ですよね」
「暇……だと? 掃除洗濯料理買い物……家事は俺が全部してるんだけどなぁ? それで、暇だと?」
「すいません、なんでもないです」
小夜も、大体俺が家事をしてるときにゲームをしてるからな。手伝ってもらったことのほうが断然少ない。
「レティルさん、あなたは手伝わないの?」
「手伝ったことはありませんね。今日、帰ったらやってみましょう」
レティルが家事? まあ、流石に小夜みたいにはならないと思うが……不安だ。
「そういう、皆さんはどうなんですか? 家の手伝いとかしてるんですか?」
「あたしはご飯を作ると黒くなるから、やらなくていいと言われてるの。全く失礼だよね」
「私はたまにやるかな。親が遅いときもあるし」
「私は……、家の事は全部執事さんとメイドさんがやってくれるから」
流石、水羽カンパニー。一人だけレベルが違うな。
「ほら、漆原さんはともかく。時雨さんと、水羽さんは私に言う権利無いと思いますけど」
「私…………何も言ってない」
「取り敢えず、二人ともそのうちみんなで家事練習しましょう。家事スキルはあって困るものでもありませんし」
「めんどくさいわね。でもまあ、そのうちやりますか」
こいつらの将来が不安だ……。まあ、将来まで関わることはないだろうが。そんな事を喋っていると、いきなり水羽が立ち上がった。
「どうしたんだ?」
「ちょっと、先生に頼み事されて……」
先生が、水羽に頼み事か。そう対した頼み事でもないな。
「行ってらっしゃい。気をつけるのよ」
「うん…………。それじゃあ」
水羽はそう言い残し、その場を足早に去って行った。
「そういえば、レティルさん。確か海外に居たのよね? 何処の国に居たの?」
「えっと…………」
そう言いながら、レティルはこちらをチラチラと見る。なんだ、考えて無かったのか?
「レティルは、ロシアに居たんだ。ほら、髪の色を見てみろ。それっぽく染めてるんだ」
うちの高校は、別に染めても問題はないので、おかしな点はない。
「へぇ、ロシアって金髪が多いイメージだけれど。それに、本当は黒とか茶色が多いらしいわよ」
「まあ、レティルはただ銀髪が好きだったんだよ。なあ?」
「はい、私は銀髪大好きです」
「へぇ、アニメとかよく見るの?」
まあ、普通銀髪好きって言ったらそうくるよな。再び、困ったようにレティルはこちらを見てくる。
「えっと……、レティルはアニメとかじゃなくて普通に銀髪が好きなんだ。コスプレとかした時に、相性がいいとかなんとか」
確か、前に銀髪に染めたいとか小夜が言って時に、そんな事を言ってたような……。
「コスプレ……、レティルさんがね。よくなんの、コスプレをするの? 私は、たまにバニーガールに鞭を持ってハイヒール姿になるわよ。星雲くんもやる?」
「それって、SMプレイのあれだろ!? なんで、そこだけは俺に聞いてんだよ! やるわけねえだろ!」
「安心して……、あなたは私にぶたれる方だか」
「安心出来ねえよ!」
「ええ!? じゃあ、ぶちたいの?」
「ぶちたくもねえよ!」
「じゃあ何がしたいの!」
「この話を終わらせたいよ!」
なんで、コスプレの話だけでここまで発展するんだ……。
「それで、話を戻すけど。レティルさんは、普段どんなコスプレをしてるの?」
「えっと、レティルは……」
そこまで言いかけると、時雨は手で口を押さえてきた。
「黙って。私はレティルさんの口から聞きたいの」
時雨……、余計なことを。レティルは、数秒間目を泳がせた後、言い放った。
「私は普段、バニーガールです!」
一番最悪な事を言いやがったぞ、こいつ。
「バニーガール……。それは、星雲くんに言われて、無理やりやってるの?」
「はい、無理やりです」
してないから、何答えてんだよ! 話が聞こえていたのか、周りの女子は蔑むような目でこちらを見る。
「星雲くん……、最低ね」
「ぐおわぉかぬなは」
時雨の手を外そうと、してみるが全く効果は無かった。
「星雲……、無理やりは駄目だぞ。さすがのあたしでも引くわぁ」
お前はいきなり、会話に入ってくんじゃねえよ!
このあと、星雲が実の妹にバニーガールにハイヒールをはかせ、鞭で毎日なぶってもらってるという、噂が学校中を駆け巡った。
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